☆こと座

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季節:夏
20時南中:8月29日
代表的な星:ベガ(0等星)
その他:ベガ…夏の大三角形の一つ

〜神話〜
 日本では、七夕伝説で有名です。七夕伝説は最後はハッピーエンドですが、ギリシア神話では、そうではありません。
 ギリシアの竪琴の名人オルフェウスの琴の音が流れると、人間はもちろん森の動物たちや草花、木々、はては川のせせらぎさえその流れを止めて聞き惚れるほどでした。
 そのオルフェウスが、エウリディケを愛して妻に迎えました。ところが、二人の甘く楽しい生活も長くは続きません。
エウリディケが毒蛇にかまれ、息絶えてしまったのです。最愛の妻を失ったオルフェウスは悲しみにくれましたが、なんとしても妻を生き返らせたいと願い、暗い洞穴をたどってあの世の国へと、おりて行く決心をかためました。
 あの世の国の入り口には、真っ暗な川が流れ、カロンという渡し守が死人だけを船に乗せ、あの世の国への岸へ渡していました。
カロンは、死人でないオルフェウスを見つけると、渡すのを拒みました。しかし、オルフェスの妻をしたう心をこめた琴の音を聞くと、黙って向こう岸に渡してくれました。
 あの世の国の入り口を守る猛犬ケルベロスも、その琴の音に吠えるのをやめ、亡霊たちもさめざめと涙を流しました。
 やがて黄泉の国の大王プルトーンの前に立ったオルフェウスは、琴を奏でながら、”妻をもう一度私のもとにかえしてほしい”と訴えました。
けれども大王プルトーンは、どうしても首をたてにふりません。しかし、妃のペルセポネ(おとめ座)が涙ながらに大王を説いたので、とうとうエウリディケを連れ戻すことを許しました。
そして、”地上に出るまでけっして妻のほうを振り返ってはならない”と厳しく言い渡しました。
 オルフェウスは、妻の気配を後ろに洞穴のけわしい道を地上へと急ぎました。やがて、この世のなつかしい光と風が、洞穴の口から流れ込むのを感じたそのとき、オルフェウスは、エウリディケの方をおもわず振り返ってしまいました。そのとき、エウリディケの姿は吸い込まれるように今来たばかりの暗い道の奥へ、煙のように消えてしまいました。オルフェウスは驚き悲しみ、妻の名前をよびながらもと来た道へとってかえしました。
 7日7夜、オルフェウスは、渡し守のカロンに船に乗せてくれるよう頼みました。しかし、いくら竪琴をかき鳴らしても、船に乗せてはくれませんでした。
 オルフェウスは、後悔と絶望のあまり、悲しい琴の音を奏でながら野山をあてもなくさまよいました。
あげくの果て、祭りで酔ったトラキアの女たちに曲を弾けと無理強いされ、聞き入れなかったばかりに殺されてしまいました。
 あわれに思った大神ゼウスは、その竪琴を拾い上げると、星空にあげ、こと座としました。