パラドックスB

作者不明のパラドックス正しそうに見える前提と、妥当に見える推論から、受け入れがたい結論が得られる事を指す言葉である。

「作者不明のパラドックス」とは、例えば、未来から持ち帰った自分の小説を書き写した作家がいたとしたら、その作品はだれが書いたことになるのか、というパラドックスである。

この出来事は、因果関係としては「自己無矛盾名ループ」であるので、厳密にはパラドックスではないが、
作品という情報がどこから生まれたのかという「情報期限のパラドックス」といえる。

何もないところから、意味ある情報が発生したのだ。

 コーヒーにミルクを入れると、ミルクはカップ全体に混ざり合ってゆくが、いくら眺めていても逆にミルクが集まることはない。

物理の法則自体は時間反転対象な形を形成しているが、どこかで時間のすすむ方向が決まっているとも考えられる。

 時間の流れを決めるのは、熱力学の第二法則エントロピー増大の法則という別名がある。すべての自然現象においては,エントロピーは増大の一途を辿る。、いわゆるエントロピー増大則熱力学第二法則と同値なクラウジウスの不等式から求められたことにより、熱力学第二法則とエントロピー増大則を対応させることもある。である。

エントロピーとは「乱雑さ」の意味である。

ミルクが拡散していく現象は、ミルクの分子がとりうる状態の数が増えたため、初めにまとまっていたという情報が次第に失われて「乱雑になっていく」ことでもある。

熱が必ず高い方から低い方へ流れるのも、永久運動をする機会が存在できないのも、このエントロピー増大則が決定打ともなっている。

 情報は減る一方のはずであり、無から生じることはないのだ。

したがって、過去へのタイムトラベルが可能ならば、情報起源のパラドックスは、パラドックスとして残る。

エントロピー増大則と同じレベルで、何かの手段で禁止されなければならないだろう。


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