ニュートリノ

イタリアのグランサッソ国立研究所の研究チームは19日、素粒子の一種であるニュートリノが光より速く移動することを示す観測結果が得られたとしていた国際実験チームの報告に異議を唱える論文を発表した。
イタリア国立核物理学研究所(INFN)や名古屋大や神戸大なども参加する国際実験チーム(OPERA)は9月、スイスのジュネーブ郊外にある欧州合同原子核研究所(CERN)から発射したニュートリノが、約730キロ離れたグランサッソ国立研究所の検出器に到達するまでの時間と距離を測定した結果、ニュートリノが光より60ナノ秒(1億分の6秒)速く進むことを観測したと発表。先週には、再実験でもそれを確認したとしていた。
これに対し、グランサッソで同様の研究を行う別の実験チーム(ICARUS)は、「OPERAの実験結果における超光速の説明に反証する」内容を確認したする論文をウェブサイトで発表。2人の米著名物理学者が最近発表した研究内容に基づき、CERNから発射されたニュートリノは、ほんのわずかでも光速を上回るスピードで進んだとすれば到着時点でエネルギーのほとんどを失っているはずだが、ICARUSの測定では、光速で移動する素粒子とエネルギースペクトルが完全に一致したとしている。
アインシュタインが1905年に発表した特殊相対性理論では、質量を持つものは光よりも速く移動できないとされた。OPERAの観測結果はこれに矛盾するもので、宇宙の成り立ちをめぐる定説を覆し、タイムマシンや異次元の存在も可能になるとして注目を浴びていた。

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