身近な放射線


自然放射線


 自然界には放射性物質が数多くあり、私たちは日常的に様々な放射線を浴びています。
こうした放射線のことを自然放射線といいます。

宇宙からの放射線


  宇宙空間には多数の放射線が行き交っていて、中に
  は地表まで届くものもあります。この宇宙からやって
  くる放射線
のことを宇宙線、特に一次宇宙線といい
  ます。
  また上空では、一次宇宙線が空気と衝突することで
  原子核反応が起き、様々な放射線が生まれます。こ
  の放射線を二次宇宙線と言い、これも一部が地上に
  到達しています。
  宇宙線はγ線と同じく体外から外部被曝を起こすの
  で、私たちが屋外にいる時には常に宇宙線によって
  被曝している状態です。
  地表では大気によって宇宙線の大部分は遮られてい
  ますが、高度が高いほど大気が薄いので、山や高層
  ビルなどの高所に上ると宇宙線の被曝量も多くなりま
  す。


空気からの放射線


  空気中にわずかに存在するラドンというガスも放射線を出しています。


大地、岩石からの放射線


  大地の土や岩石にも放射性物質が含まれているので、私
  たちは大地からも放射線を受けています。
  例えば、墓石などに使われる花崗岩にも放射性物質が含
  まれています。そのため、関東地方よりも地中の花崗岩
  の割合が多い関西地方では自然放射線の量が若干高く
  なっています。
  他にも、地質にウラン、ラジウム、トリウムなどの放射性
  元素が多く含まれている土地では自然放射線の量が高く
  なります。
  又、建物に使われているコンクリートや岩石の中にも放射
  性物質が含まれているので、屋内のほうが屋外よりも放
  射線量が高いことがあります。
  もちろん、木造の建物であれば、他の放射線源がなけれ
  ば、屋内のほうが放射線量は低くなります。


生き物の中、食べ物の中の放射線


  植物や動物は生きるために無機物を体内に取り入れます。この無機物の中に放射性物質が含まれ
  ていることがあります。
  例えば、人間や動植物は生きていくためにカリウムが必要ですが、カリウムにはカリウム40という
  放射性同位体が存在します。つまり、私たちが食事をするとカリウムと一緒にカリウム40が体内に
  取り込まれて蓄積していくかもしれないのです。しかし、こうした放射性物質は、時間が経つと放射
  能が弱まったり、新陳代謝によって体外に出されるため、体内での割合はほぼ一定に保たれています。
  他にも、食事によって体内に取り込まれる放射性物質には、「炭素14」、「鉛210」などがあります。


水は放射線を遮る性質があるので、池や湖、海の上では大地からの放射線が遮られ、自然放射線量は
陸上より低くなるのが普通です。