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味噌

味噌って何?

 味噌は大豆、米、麦を食塩と混ぜて発酵させて作った半固体状の食品です。日本では、常に台所に存在しているほど私達にとって身近な発酵食品のうちの一つです。「医者に金を払うよりも味噌屋に払え」や「手前味噌」など味噌に関わる言葉は多く、昔から日本人に親しまれてきた食品だということがよくわかりますね。

味噌と地方

 味噌はその場所によって色々な特色をもった地方色の強い食品です。中部地方では豆味噌と呼ばれる大豆だけを原料とした味噌、九州・四国西部・山口県瀬戸内側では麦味噌、その他は米味噌で、麦味噌の中でも赤、白、淡色などの色の違い、米味噌にも甘・甘口・辛口などの違いが地域でみられます。


分布表


味噌の製造と種類

 味噌作りの時に働く微生物はとても多く、働き方もとても難しいです。
味噌作りは日本酒と同じで麹づくりから始まります。だから、まず初めに蒸した米・麦に30℃以上の麹室で麹菌を植え付け、麹をつくります。この麹は37℃くらいの温度に維持され雑菌の繁殖を抑えます。次は仕込みと呼ばれる作業で、塩と麹を混ぜることによって麹菌の生育を止めます。仕込みでは味噌の発酵に必要な耐塩性の酵母菌や乳酸菌も加えられます。そしてこれを発酵タンクに入れて40〜180日ほど諸味を造り熟成させます。
仕込みの際に、米や麦が多いものは甘味の多い味噌になり、大豆が多いものはうま味が多い味噌になります。


味噌製造工程



また、味噌には上で書いたように色々な種類があります。そのなかでも味・色についてなぜこのような違いがでるのかを紹介したいと思います。

味・色の違う味噌の特徴

 色の違いは発酵中に起こるメイラード反応と呼ばれるタンパク質やアミノ酸と糖を化学変化させて食品を褐色にする反応で生まれます。ちなみにこのメイラード反応、食パンの耳の茶色くなった部分や、コーヒー、ステーキの焦げた色など、私達の身近にある様々な食品に起こっている反応です。
赤味噌
 赤味噌に使われる麹は米や豆が多く、大豆を長時間蒸してタンパク質の編成を進め、酵素分解を促進して長時間寝かせた後に撹拌します。熟成期間がながいので塩分濃度が高く、コクが強いです。江戸味噌、仙台味噌とも呼ばれます。
淡色味噌
 味は赤味噌と白味噌の中間で、一般的に売られている多くの味噌はこの味噌です。
白味噌
 大豆を蒸さずに煮ることによって糖などの水に溶けやすい成分を溶け出させることによってメイラード反応を抑えるために味噌の色が白っぽくなります。
熟成は赤味噌に比べ短い期間で撹拌はしません。京都味噌とも呼ばれます。

味噌と醤油の違いは何?

 醤油の項目を見た人はもしかしたら不思議に思ったかもしれませんが、味噌と醤油の原料がほとんど同じです。しかし、「醤油を見て、これは味噌だ!」とかそんな事をいう人は一度でも醤油と味噌を見ていればいないと思います。なぜ、原料が一緒でもこんなに見た目も味も変わってしまうのでしょう。

醤油と味噌

 味噌は米・麦に麹を植え付けます。だから味噌にはでんぷん、タンパク質が多くふくまれていますが、醤油は麦、大豆に麹を植え付けるのでほとんどがアミノ酸でできています。また、製造過程でも味噌は大豆を煮たり蒸したりしたものをつぶして麹と塩を一緒に加えて発酵させます。醤油は蒸した大豆と砕いて炒った小麦を混合した物に麹を加えて作った醤油麹というものに塩水を加えて発酵・熟成させた諸味を搾ってつくります。少し作り方が変わるだけでこんなに多くの違いがうまれるのです。