農学とビッグデータ

 最近では、農業が統計にも使われるようになりました。その例として、和歌山県のとあるみかん農家があります。

 そこでは、高品質みかんの栽培にICT(情報通信技術)を活用しています。センサーで収集した気温、降水量、土壌温度などのデータや、従業員の日々の作業記録、従業員が園地で撮影した写真などをクラウド、スマートフォン、パソコン等で管理、それらを共有しながら、適切な時期に適切な作業を実施する事を狙いとしたシステムを構築しています。

 このシステムは、美味しいみかんを作るために、いつ、どこで、どのような作業を行なえば良いか、また、それぞれの作業にいくらのコストがかかっているか等を、従業員が適切に把握・判断できる支援をします。

 5000本を越える樹木1本ごとにIDナンバーをつけ、生産部員はそれぞれにスマートフォンをもち、糖度や酸度、樹木の状態や病害虫の発生を細かく管理しています。 例えば、葉や幹の様子をスマートフォンで写真に撮ったり、「新芽が出ている」「虫がついている」などのコメントを入力したりして、サーバーにアップロードします。

 この収集したデータは、生産技術指導や経営計画に反映させます。データを元に作業指示者が「みかんの糖度をあげるために水切りしよう」「花数が多いので少しちぎろう」といった具体的な指示を出す事ができます。
 このようにして、農業にも統計が使われているのです。