危険な酸性雨

酸性雨とは

酸性雨とは、二酸化硫黄(SO2)や窒素酸化物(NOx)などを起源とする酸性物質が 雨・雪・霧などに溶け込み、通常より強い酸性を示す現象です。環境問題の一つとして 問題視される現象で、大気汚染により降る酸性の雨のことを指す。酸性の雪は酸性雪 (さんせいせつ)、酸性の霧は酸性霧(さんせいむ)と呼ばれる。酸性雨は、河川や湖沼、 土壌を酸性化して生態系に悪影響を与えるほか、コンクリートを溶かしたり、金属に錆を 発生させたりして建造物や文化財に被害を与えます。

なお、気象庁では雨などに溶け込み地表に降ってきたものを「湿性降下物」、 雨以外の乾いた粒子等の形で降ってきたものを「乾性降下物」として化学成分の測定を行い、 両者を併せて「降水・降下じんの化学成分」と呼んでいます。また、現在では、 「酸性雨」は湿性降下物及び乾性降下物を併せたものとしてとらえられることが多く、 「酸性降下物」という用語も使われます。

酸性雨の指標

物質の酸性、アルカリ性の度合いの指標として一般に水素イオン濃度指数 (pH、ピーエッチまたはペーハー)が用いられており、酸性度が強いほどpHは低くなります。 純水(中性)のpHは7ですが、降水には大気中の二酸化炭素が溶け込むため、 人為起源の大気汚染物質が無かったとしてもpHは7よりも低くなります。大気中の二酸化炭素が 十分溶け込んだ場合のpHが5.6であるため、pH5.6が酸性雨の一つの目安となりますが、 火山やアルカリ土壌など周辺の状況によって本来の降水のpHは変わります