縦波・横波 

 波を伝えるものを媒質と言います。代表的な媒質には空気がありますが、それ以外にも水などの液体、金属などの固体も音を伝える媒質です。 波はある一点が移動しているように思いがちですが、実はそうではありません。

 x-y 平面上に原点を中心とする半径rの円を考えてみます。物体は時刻 t=0 のとき点 (r, 0) を出発して、角速度ω(単位時間あたりの回転角)で運動します。「単振動」という運動は、等速円運動する物体に平行に光を当て壁にできる影(正射影)の往復運動です。波はこの運動が基本です。

単振動のアニメーション(HTML5対応ブラウザでご覧いただけます)



 白線:半径r
 緑線:時刻t秒後の変位
 青線:物体に平行に光を当て壁にできる影(正射影)

横波 

 波には縦波と横波があります。
 まず、一番左の粒だけに注目するとその運動は、単振動であることがわかります。次に、そのひとつ右の粒に注目すると、左の粒より少し遅れて同じ動きをしていることがわかります。
 このように横波とは、媒質のひとつひとつの粒が、左の粒より少し遅れて上下に移動すること(単振動)によって波を伝えます。このとき、全体で見ると波は左から右に伝わります。


横波のアニメーション(HTML5対応ブラウザでご覧いただけます)


縦波 

 縦波は、媒質の粒が波の進行方向に進みます。このとき、隣の媒質の粒に波を伝えその粒は元の位置に戻ろうとします。これを繰り返すことによって波が伝わります。このとき、媒質の粒の密度が高くなっているところを“密”、密度が小さくなっているところを“疎”といいます。このことから、縦波は“疎密波”といいます。


 音波は縦波で、その速さは室温によって異なりますが、だいたい340m/sです。

縦波のアニメーション(HTML5対応ブラウザでご覧いただけます)


縦波を横波へ変換する

 縦波は波の進む方向と媒質の進む方向が同じで視覚的にわかりにくいので、横波のような表示の仕方をすることがあります。

【手順】
  • 媒質が元の位置から右に移動した場合、同じ距離だけ元の位置から上に動いているものとして表す
  • 媒質が元の位置から左に移動した場合、同じ距離だけ元の位置から下に移動しているものとして表す
実際に図にしてみると次のようになります。