これまでこのサイトで紹介してきましたようにスペースデブリは秒速8kmと言うような超高速度で軌道衛星上を回っており、とても大きなエネルギーを持っているため、例えばそれが小さなネジだったとしても鋼鉄の厚い板を貫通するような威力があります。
これからの宇宙開発において一番の問題とも言えます。しかし、このような大きな問題にもかかわらず明確な解決策は無く、スペースデブリはどんどん増え続け、非常にきけんな状態です。
そのため今後宇宙開発を続けていく為にはデブリを減らす必要があります。
デブリを減らす為には主に
『デブリ自体を減速させ周期軌道の高度を下げ、高度が下がったことにより空気摩擦が増えさらに減速し、空気との断熱圧縮により燃え尽きさせる』
方法が最も有力だとされています。
つまりデブリを減速さえさせてしまえば後は勝手に燃え尽きてしまうのです。
ではなぜこのような大問題まで発展し、解決が難しいと言われているのでしょうか?
実際に提案されたものの失敗に終わった対策案を紹介しつつ解説していこうと思います。
デブリが減速すれば燃え尽きてしまうのだからデブリに直接物をぶつけて減速させてしまえばいいではないのか?という考えです。
しかし、これはむしろ逆の結果になります。
デブリは秒速8kmと言うような超高速度で軌道衛星上を回っているため高いエネルギーを持っています。ですから物をぶつけたとしたらその物は瞬時にバラバラになり、その破片1つ1つがまたデブリとして拡散してしまうのです。つまり、デブリを減らすつもりがむしろ増えてしまうのです。
このようにデブリが物にぶつかり新しいデブリが連鎖的に起きる現象をケスラーシンドロームと言います。
確かに網をデブリと同じ秒速8km/sの速さで並走すればデブリを捕まえる事は可能ですが、「スペースデブリは軌道上を右回り」なんてことは無くいろいろな方向へ回っています。
もし秒速8kmで並走している網に反対側から他のデブリが秒速8kmで来れば相対速度は秒速16kmですから、悲惨な衝突が起きてしまいます。
軌道上に巨大な発泡スチロールのような物を浮かばせ、そこにデブリを通過させることによってデブリを軽い発泡スチロールに置き換えようとする方法です。
仮に発泡スチロールに置き換える事ができても今度は大量の発泡スチロールがまたデブリとして回ることになります。
発泡スチロールならぶつかっても大丈夫ではないのか?と考える人もいるかと思いますが、例え発泡スチロールだとしても秒速8kmでぶつかられるとそれなりの被害がでるので、解決とは言えません。