Space Debris ~秒速8kmの先へ~

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デブリ環境

デブリはどれくらいあるの?

debri

NASA提供

宇宙にどれくらいの数の人工物があるのかは実はわかっていません。
低い軌道であれば10cm以上、高い軌道であれば1m以上の物体はレーダー、望遠鏡などによって 管理(カタログ化)されています。
このようにカタログされた物体の内訳は、実際に使われている衛星、既に機能 しなくなった古い衛星やロケットの上段、それに加え打ち上げの途中や衛星の切り離しのときに 放出された破片などです。
実はカタログ物体の中で最も多いのは破片であり、驚くべきことに全体の半数近くを占めているものです。
ちなみに、現在使われている衛星は全体の6%しかありません。
→つまり94%はスペースデブリ、つまり宇宙のゴミとなっているのです!!


軌道上は混み合っている!?

人工衛星などの軌道はSNN(米国宇宙監視ネットワーク)によって管理され、打ち上げを行う前にどのくらいの高度の場所をどのくらいの周期で使用するのか申請などをしなければなりません。
下のグラフは上の図で示した軌道別のカタログ物体を表したものです。
g1
図から、カタログ物体は宇宙に均等に分布しているもではなく、特定の軌道に集中していることがわかります。
静止軌道上には通信衛星などの人工衛星が分布しており、密度にピークが見られます。高度700〜1000kmの高度は主に地球を観測する衛星のための軌道で、次のピークである高度1500km付近は軍事的目的で打ち上げられた衛星の軌道です。

地球を観測する衛星の軌道上と軍事的目的の衛星の軌道上ではブレークアップが多数起こっており、これにより大量の破片が生じデブリが発生することが実はピークを構成する本当の理由なのです。

先ほども述べたように、実際に使われている衛星などがどれほど少なく、デブリがどれほど多いのかをここからも理解することができます。



デブリが減る時

スペースデブリの数は右肩上がりに増加していますが、11年ごとに減少するときがあります。
これは太陽活動の活発化によるもので、活発なときには地球の大気層が膨らみ高度500〜1000kmの大気密度は大幅に上昇します。
物体の大気抵抗は密度に比例するので、この期間には物体の落下が促進されます。
しかしこれで減少する量も全体から見れば微々たる物であり、この11年に1度の減少する時期だけに頼っていてはスペースデブリの問題は解決されません。


ブレークアップ

ここでは、先ほどの章で述べたブレークアップをさらに詳しくみていきます。
ブレークアップとは、人工衛星などが何らかの原因で爆発し破壊され大量のデブリが発生してしまう現象です。

①意図的な破壊

「意図的な破壊」とは、衛星破壊実験や回収に失敗した衛星を破壊するものです。
自国の衛星にミサイルを打ち込むとどのように破壊されるのかを確認するとき、また軍事衛星が他国に落下し情報が流出する危険性があるときに破壊したり自爆させたりします。
このような人為的な破壊はブレークアップとしての件数では最も多く、割合としては3分の1を占めています!

→具体的な例
・衛星破壊実験…コスモス249号

・中国が自国の衛星「風雲1号C」を地上からミサイルで爆破

②偶発的な破壊

意図的に人工衛星を破壊するのに対し偶発的に人工衛星が破壊されることがあります。
例えば、衛星内の自爆機能が偶然作動して大量のデブリが生じる危険性があります。

③・④電気回路・推進系の爆発

人工衛星などは宇宙に行く際にロケットで運ばれますが、ロケットの電気回路が突然ショートして爆発したり、宇宙に行くための推進系と呼ばれるロケットのエンジンなどが何らかの原因により爆発したりしてブレークアップを起こすことがあります。
(原因としては、燃料が入っている壁に亀裂が発生し推進剤が漏れ出した状態で他の機体などと衝突することで大規模な爆発が起こると考えられます。)

⑤不明

①〜④以外の約40%のブレークアップの原因はわかっていません。
これらの中にはデブリ同士の衝突による爆発もかなり存在すると考えられています。



私たちの意見

見ていただいてわかるように、今の宇宙空間の人工物体はデブリが大多数を占めていて極めて危険な状況です。
ブレークアップの欄で説明した各項目について私たちの意見を主張したいと思います。

①「意図的な破壊」に物申す

使用されていない衛星などが大気圏で燃えつきず地球に落下してしまうと考えられるときに衛星を破壊することはやむを得ないでしょう。
ですが、衛星破壊実験は本当に必要なのでしょうか。
宇宙が誰の物でもないからといってスペースデブリを大量に生み出すことは間違っていると思います。

現在スペースデブリの発生防止に関するガイドラインには一切拘束力がなく、「できることなら守ってね〜」というような状態です。(国際連合での問題点と同じですね。)
衛星破壊実験を全面禁止とする強い拘束力を持った新たなガイドラインや条約、法律を作ることが必要です。

③・④ 「推進系の爆発」に物申す

推進系の爆発によるブレークアップは切り離す際に推進材をタンク内に残していることが
そもそもの原因です。
よって、切り離したらバルブを開け、タンク内を空にさせることが必要です。
1982年に推進系の爆発によるブレークアップが確認されてから、NASAをはじめ各国が衛星を切り離すとすぐにタンクのバルブを開け中に残った推進剤を排出する機体をつくりました。このような機体は今のところ一度も爆発していません。


これらは宇宙でデブリが増える事故が起きないようにするための提案や意見ですが、人工衛星を打ち上げればデブリは増えるので根本的な解決にはなっていません。
しかしながら、このように1つ1つ対策をして小さなデブリを生み出さないことはとても重要なことなのです。