私たちはJAXAに
『現在JAXAで検討されているスペースデブリ除去システムで最も低コストであると思われる方法はどのようなものですか?』
という質問をしました。
そこでかえってきたお返事は、導電性テザー(電気を通すヒモのこと)を用いたスペースデブリ除去システムの研究開発というものでした。
「網でスペースデブリを捕まえる!」とも表現されるこの技術、いったいどのような仕組みなのでしょうか?
JAXAでは、この導電性テザーを使って次のようにスペースデブリを除去しようとしています。
「宇宙ゴミ除去機」をロケットで打ち上げる
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「宇宙ゴミ除去機」を軌道投入
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「宇宙ゴミ除去機」を除去するデブリに接近させる
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「宇宙ゴミ除去機」が宇宙ゴミに「テザー」を取り付ける
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「宇宙ゴミ」はテザーを取り付けられたことで軌道を下げる
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「宇宙ゴミ除去機」は次の宇宙ゴミへ移動
導電性テザーは、その名の通り電気を通すようにできています。導電性テザーを宇宙ゴミに取り付けて電流を流し、地球磁場との干渉によって発生するローレンツ力(電気をもつ粒子が受ける力)により軌道を下げていくそうです。
このテザーの開発を行ったのが漁業用の網制作の大手メーカーの日東製網です。
日東製網は「電気を通す、アルミワイヤ12本+ステンレスワイヤ6本を網状にし、簡単に切断されないような構成としている網」を制作しました。
一本の細い網にしてしまうと1mm以下の小さなスペースデブリがかすっただけでも切れてしまうので、簡単に切断されないように網状の構造をしています。
では、この便利なテザーはどのようにデブリを減らすのでしょうか。
簡単に解説したいと思います。
JAXAで(つまり世界で)最ホットなデブリ除去装置を見てきました。導電性テザーの研究は各国で行われていますが、日本の企業が協力して作っていると考えるととても誇らしく感じます。
(問題)
現在存在するデブリを減らすというのは果てしない作業であり、「仕方ないから見て見ぬフリをしよう」というのが国際社会の傾向です。
そんな中でも未来のために根本的な解決方法を研究する機関・企業は本当にすばらしいと思います。
私たちはそのような現状をもっと知り、興味関心を持つ必要があると思います。