〜魚料理のマナー〜



 スープのあとには、魚料理がつづくのが正式で、パーティなどではこのときに、ウエーターが白ぶどう酒をついでくれます。(もちろん、気軽なディナーの席なら、その日の主菜に魚料理を選ぼうが、肉料理を選ぼうが、好みしだいです。)

 魚用のナイフ、フォークは、淡白でデリケートな魚の味を損ねないよう、銀製か銀メッキのものが用いられています。いくらか小型で、形も肉用のものとは少し異なっていますし、柄の部分に美しい彫刻の施されていることが多いので、肉用のナイフ、フォークとは簡単に区別がつきます。

 そうはいっても、つい間違えてしまった場合には、うろたえたりしないで知らぬふりを決め込み、そのままそのナイフ、フォークで料理を食べ終えましょう。それから、さりげなくウエーターを呼び、新しいナイフ、フォークを持ってきてもらえばそれですむことですから。

 

骨付き魚は骨をはがして食べる



 洋風の魚料理で、食べるのにもっともとまどうのが骨付きの魚でしょう。ですが、ナイフを寝かすようにして身と骨を離す要領さえ覚えれば、意外と簡単に食べられます。
 まず、輪切りのレモンが添えられていれば、ナイフで魚の上から押して汁をしぼり、皿の隅にどけておきます。次ぎに、フォークで頭の部分を押さえ、骨に沿って左から右へナイフをねかすようにしていれ、上身をそぎとって、フォークで食べます。
 上身を食べ終えたら、頭と尾をナイフで切り離し、皿の向こう側にまとめておきます。中骨も、ナイフで下からはがしとって、同様に向こうに置き、あとは一口ずつナイフとフォークで食べればいいのです。魚は裏返して食べないのが原則です。

伊勢えびは身を取り出して食べる



 伊勢えびの冷製も、骨付き魚料理、たとえば舌びらめのムニエルなどと同様、ディナーの席ではよく見かけるものです。殻の中の身が食べやすく切りそろえてあるのが本当ですが、そうではない場合は、左手で頭の部分を押さえ、ナイフで身を取り出していただきます。生がきの場合と同じく、皿の上でツルツルするものは、無理してナイフと、フォークで追っかけ回さないことです。
 頭を押さえたら、背のほうから殻に沿ってナイフを入れ、身をはがします。フォークで刺し、ナイフで下から支えて皿の手前に身をすっぽりと取り出し、左端から一口大に切って、マヨネーズをつけながら食べます。

グラタンはフォークで



 魚介のグラタンなど、ナイフを使う必要のないほど柔らかいものは、右手にフォークを持って食べてもかまいません。


濃いソースは料理に直接かけないで



 サーモンのソテーなどには、ソースがつきもの。ソースは料理の後から出てくることが多く、各自でレードルですくいます。その場合、タルタルソースなどどろりとした濃厚なものは皿の空いたところにとり、料理を一口分ずつつけて食べるようにシマす。さらりとした薄いソースは料理に直接かけてもかまいません。これは、どの料理の場合にも共通したルールです。


小骨は口もとをナプキンでかくしてとる



 小骨が口に入ってしまったら、フォークの背に受けて出すのがほんとうですが、慣れない場合は、左手のナプキンで口もとをおおい、右手でそっとつまみ出して皿の隅に見苦しくないように置きます。食事の席で、直接口から皿に出してよいものは、何一つありません。


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