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PCM パルス符号通信

電話の音声のように連続して変化する信号を電流や電圧の変化で伝送する方法をアナログ伝送というのに対して、符号化した信号を伝送する方法をデジタル伝送という。この方法の一つとして、音声などの連続した信号を時間的にこま切れにし、その瞬間の信号の大きさをパルス符号に変えて伝送し、受信側で送られた符号から元の信号を復元する方式をパルス符号変調(PCM)方式という。最近多重通信の方法として盛んに使用されている。この原理はいち早く1937年イギリスのリーブズ[A.H.Reeves]が発表しているが、高速パルス変換のため数多くの真空管を必要とすることから実用化するに至らなかった。最近の集積回路技術などの電子部品の発達、低価格化によって急速に発展したものである。
音声の伝送に例をとると、電話の信号を1秒間に8000個に分割し(これを標本化といい、伝送する周波数の2倍以上の大きさに分割すると忠実な再生が可能であるという標本化の定理があり、電話の場合、伝送する周波数帯3400Hzの2倍の6800に余裕をもたせて8000個に分割する)、その信号を一定の大きさの範囲に分類し(量子化といい、電話の場合2の8乗すなわち256個に区分している)、その大きさを8個のパルスの組合せで構成する符号とし(符号化という)伝送する。受信側ではその符号を元の信号に変換して音声を再現する。テレビやデータなどの信号も同じ原理で送ることができる。
信号をいったん符号に変えて伝送するので、伝送路途中で雑音やゆがみを受けることが少なく、非常に安定した通信を行うことができる。高速でパルスを伝送すれば一つの伝送路で多くの通話を送ることが可能で、いくつもの通話を時間的にずらして送るので時分割多重通信という。85年一般に使われている市内ケーブルや市外ケーブルを使用して、一つの伝送路で電話24回線を送る方式が開発され以後広く使われている。また、同軸ケーブルやマイクロ波を利用し、超高速混成集積回路などの技術を使って1秒間に4億個のパルスを送る方法が確立され、その結果一つの伝送路で電話5760回線またはテレビ60回線を送ることが可能となっている。