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半導体

導電率が導体と絶縁体との中間の値をもつもの、すなわち抵抗率が約10−5乗オーム・cm〜10の8乗オ−ム・cmの範囲の固体物質の総称。しかしいわゆる半導体とは、抵抗率がこのような範囲にあるということよりも、いくつかの特有の性質をもつものを意味することが多い。そのような性質が現れる原因は、エネルギー帯構造にある。エネルギー帯は半導体においては、比較的自由に動き回れる電子があまり多くなく存在する伝導帯と、電子でほとんど満ちた充満帯(価電子帯)およびこれらの間の禁止帯からなる。不純物をまったく含まない半導体すなわち真性半導体においては、禁止帯幅に相当する範囲のエネルギーをもった電子は存在しない。金属においては、伝導帯の一部分まで電子でうまっており、また絶縁体の禁止帯は半導体のそれに比ベ著しく大きく、伝導帯には電子は存在しない。
何らかの手段で、禁止帯幅に相当するエネルギーを電子に与えると、電子は伝導帯に上ることができる。ふつう半導体では室温においても、熱的にエネルギーが与えられるため、伝導帯に比較的少数の電子が存在する。このとき価電子帯には負の電荷をもった電子が抜けた穴ができ、この穴は正の電荷をもつため正孔と呼ばれ、伝導帯の電子と同様動くことができる。したがってこのような場合には、伝導帯の電子と価電子帯の正孔の向方によって半導体中の電流が運ばれる。このように、電子と正孔の両方が電流の担い手すなわちキャリアーとなるのは半導体の特徴である。
ケイ素(シリコン)のような周期律表W族の元素からなる半導体に、X族の元素を不純物として添加すると、X族元素はW族元素より価電子が多いため、動くことができる電子を放出する性質をもつ。エネルギー帯図においては、このような不純物は一般に禁止帯の中の伝導帯の近くに、電子がとりうるエネルギー準位を作る。このような不純物をドナーという。他方、V族の元素を添加すると、価電子数がケイ素より少ないため、エネルギー帯図で禁止帯中の価電子帯寄りにエネルギー準位を作る。このような不純物をアクセプターという。ドナーが多く存在すると、それらから放出された電子が伝導帯に多く存在し、半導体の導電率はほとんど電子で決まるようになる。アクセプターが多く存在すると、それらに電子が捕獲され、価電子帯に正孔ができる。この場合には導電率は正孔で決まる。前者をn型半導体、後者をp型半導体という(nは負、pは正の頭文字)。
半導体の場合には、温度が上昇すると、このように電流の担い手であるキャリア−が増加するため、ある温度範囲では導電率が温度上昇とともに増加する。それに対し金属の場合には、温度の上昇とともに導電率は単調に減少する。
禁止帯幅に相当する値以上のエネルギ―をもつ光が半導体に当たると、やはり電子は伝導帯に上るため、導電率は大きくなる。このような現象を光電効果(内部光電効果)といい、半導体特有の性質である。逆に、伝導帯にある電子が価電子帯に落ち、正孔と結合するときには、禁止帯幅に相当するエネルギーが放出され、場合によってはそれが発光現象となる。また、p型半導体とn型半導体を接触させたpn接合は、整流特性や光起電力特性をもち、多くの電子装置の基本的構造をなす。
代表的な半導体として、周期律表W族のケイ素やゲルマニウムがよく知られているが、最近ではリン化ガリウムGaPやヒ化ガリウムGaAsのようなV族とV族の化合物や,硫化カドミウムCdSのようなU族とW族の化合物半導体も多く使われるようになった。ケイ素はトランジスタ−、ダイオード、集積回路などの各種電子装置に、またGaPやCdSなどは発光ダイオードのような表示装置やカメラの測光装置などに使われる。