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ビデオテープレコーダー

磁気テ−プを用いてテレビジョンの映像、音声を記録、再生する装置。VTRまたはビデオと略称される。原理的には、音声のテープレコーダーと同じく、磁気テープを磁気ヘッドの面に接触させ走行してテ−プを磁化して記録するが、テレビ信号は周波数帯域幅が広いため、テープ全面を有効に使える2次元走査の記録方式がとられている。横走査方式(4ヘッド方式ともいう)ではテープの進行方向にほぼ直角方向に記録していくもので、アメリカのアンぺックス仕が1956年に最初に発表し、以来放送用VTRの主流を占めている。他は日本で研究が進められたヘリカル走査方式で、テープを斜めに走査するもので、前者に比ベて磁気ヘッドの数が少なく、現在家庭用VTRはすべてこの方式である。
横走査方式のVTRでは、記録ヘッド4個を直径50.8mmのヘッドドラムに90度間隔で取りつけ、毎秒240回転という高速で回す。テープ幅は50.8mmで、ヘッドドラムを約115度抱くように接触させながら走行(1秒間に約38cm)させると、テープ長にほぼ直角な磁気パタ−ンができる。映像信号の最高、最低の周波数比を下げるためこれをFM変調した後、スイッチでつねにテープに接触しているヘッドに導くと、パターン1本に画面の16分の1に相当する信号が記録される。再生時には、まったく同じような走査を行わせると、テープに接触しているヘッドには記録信号により電圧が誘起され、これを順次スイッチで切り替えると連続した再生信号が得られるので、増幅、FM復調すれば映像信号が再現される。再生時にはヘッドは磁気パターンのトラック上を正しく走査しなければならないので、このための制御信号がテ−プの一端に、また音声信号が他の端に、映像信号と同じく縦方向に記録されている。放送用VTRは画質規格がきびしいので、高画質を保つためテープ幅も広くとり、またテープの伸び縮みによる時間のゆれや、ヘッドのふぞろいによる画質低下を防ぐため、多くの補正回路が付属している。そのため1台数千万円と高価である。
一方、家庭用VTRは、高画質、小型、取扱いが容易、低廉なことが必要で、従来から世界各社で研究され種々の規格のものが発表されてきた。この分野における日本の技術水準はきわめて高く、現在では世界的にみても、日本ビクタ−の開発したVHS方式,ソニーの開発したべ−タ方式の2方式にほぼしぼられてきた。この両方式ともテープは2分の1インチ(約12.6mm)幅のカセット形で、ヘリカル走査を行っている。すなわち、ヘッドドラムにΩ形にテ−プを半周巻きつけてテープを走行させる。ドラムの中間にはヘッド2個をつけた円板があり、毎秒30回転で回っている。この場合円板の面がテープの走行方向に対してわずかに傾いていると、図のように、斜め方向に順次映像トラックができ、テレビの1フィールド(飛越走査による1画面の半分)が1トラックに記録される。この場合、放送用VTRに比ベてテープとヘッドの相対速度を遅くしたり、トラック間に保護用のスべ−スを設けないなどの手段で、少量のテープに長時間の番組が記録できるようにしている。これらの手段は原理的には画質の劣化をもたらすが、色信号を低周波域に変換して記録したり、あるいは隣接トラックからの混信を減らすため磁気ヘッドのギャップをわずかに傾けるなどして、実用上差支えないまで画質の向上をはかっている。