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変圧器

英語のトランスフォーマーtransformerを略してトランスともいう。交流の電圧を昇降する装置。共通の磁気回路に2組の巻線を設け、巻数比に応じて電圧を変換する。ファラデーの電磁誘導現象の発兄(1831)が基礎になり、1882年フランスのゴラールL.GaulardとイギリスのギブズJ.Gibbsによって実用的な変圧器が発明された。当時は直流配電万式が実用されていたが、送配電電圧が110Vと低圧のため、送電損失がひどく長距離送電ができなかった。しかし変圧器によって電圧の変換が自由になったため、送電に高圧交流を使うことによって送電損大を減らし長距離送電が可能になり、直流方式は交流方式にしだいに改められていった。
〔原理〕鉄心に2組の巻線を巻く。電源側に接統されるほうを1次巻線、負荷側に接続されるほうを2次巻線という。1次巻線の巻数をN1、2次巻線の巻数をN2とする。電源が交流であり、巻線に交流電流が流れているので、鉄心内には時間的に変化する磁束が生じている。磁束はニつの巻線に共通に交わっている。電磁誘導の法則によれば、巻線には磁束の時間的変化の割合と巻数に比例した起電力が誘起される。したがって2次側の電圧e1と2次側の電圧e2の大きさは巻数に比例する。位相は巻き方の方向によって同相か180度ずれる。変圧器の損失が小さければ電力は1次側と2次側で保存されるので、電流は逆に巻数に反比例する。
〔種類〕変圧器には電力用と通信機器用がある。電力用変圧器は構造によっ分類される。鉄心に巻線を巻いた形を内鉄型、巻線のまわりに鉄心を囲んだ構造を外鉄型という。外鉄型でケイ素鋼帯を巻いて作っだものを巻鉄心型という。また1次と2次の巻線に共通部分がある変圧器を単巻変圧器といい、巻数比N1/N2が1に近い場合に経済的である。通常の電力用変圧器に対して高電圧の発生を目的とするものを試験用変圧器といい、現在220万Vのものまで作られている。通信用変圧器は変成器ともいい、一般に使用電力は少ないが、使用周波数が高くまた帯域幅も広いので、ひずみの発生や外部からの誘導妨害、漏れなどが問題になる場合が多い。このだめ可聴周波数から搬送周波数くらいまでは、スーパーマロイなどの透磁率の高い金属磁性材料の薄板を絶縁して重ねた磁心が使用され、これより高い周波数帯では主としてフェライトが用いられている。