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レーザー

レーザーとは誘導放出による光増幅の頭文字をとったもの。マイクロ波領域で開発されたメーザーを、さらに周波数の高い電磁波である光の領域に拡張したもので、光メーザーと呼ぱれることもある。1958年タウンズとショーローがメーザーと同様の原理によって赤外線や可視光線を増幅、発振させる可能性を詳しく論じ、60年メーマンがルビーにキセノンフラッシュランプの強い光をあてて、はじめてレーザーの発振に成功した。その後急速に研究、開発が進み、多くの気体のほか、ガラス、半導体、有機物、液体などを使ったレーザーも成功し、発振波長域も紫外線から遠赤外線にまでおよんでいる。

〔原理〕

原子や分子など物質はそれぞれ固有のエネルギーレべルをもっており、そのレべルの間でつねに移動が行われる。これを遷移と呼ぴ、高いエネルギーレべルから低いレべルに移動するときには電磁波を放出し、逆の場合には電磁波を吸収する。一般にふつうの状態にある物質では、高いエネルギーレべルにある分子、原子の数は低いレべルにある分子、原子の数よりはるかに少ない。そのため、吸収のほうが放出よりよけい起こる。しかし、強い光や放電などにより振動数以外の振動数をもつ電磁波を吸収させて励起し(これをポンピングという)、高いエネルギーレべルの分子、原子を低いレべルの数より増やしてやることができる。このような状態を負の温度の状態というが、この状態の物質に電磁波を入射させると誘導放出が吸収より強く起こり、電磁波は増幅される。こうして得られた光の波長領域の電磁波がレーザー光で、入射電磁波と同一の振動数と位相をもち、干渉を起こしうる性質(コピーレントという)をもっている。レーザーはふつう光発振器として使う場合が多い。レーザーを発振させるには、励起されて増幅機能をもつレーザー媒体と共振器とを同期させる必要がある。共振器には、ふつうニつの平面鏡または球面鏡を向かい合わせたファブリ・ぺロー干渉計型の共振器が用いられ、この間にレーザー媒体をおく。このような共振器では、損失の少ない共振波は、鏡の間を往復するようなものだけである。したがって軸に平行に進み、鏡間隔が半波長の整数倍であるような共振する光は、鏡の間を何度も往復し、その間に増幅されて非常に強い光となり、その一部は鏡に多少の透過率をもたせることにより出力して外部に取り出すことができる。

〔種類〕

レーザーには、その増幅媒体により固体レーザー、気体レーザー、半導体レーザー、液体レーザーがある。固体レーザーの材料としては、ルビ、(クロムイオンを含む酸化アルミニウム結晶)と、ネオジムイオンを含む結晶およぴガラスが最も代表的なものである。ふつうこれらの材料を直径3〜10mm、ほどの大きさの棒とし、その両端面を研磨して、そこに直接反射鏡を蒸着して共振器とする場合が多い。励起は、キセノンフラッシュランプによるのが最も一般的である。しかし固体レーザーは、主として十分強い連続光原が得にくいという理由で、連続的な動作を行わせることは一般に容易でない。しかし大きな出力が得られるという特徴があり、とくにポンピングが十分に行われるまで発振をおさえておいた後、急に発振させると非常にピーク出力の大きい、時間幅の狭いパルス発振が得られる。 気体レーザーの材料としては、ヘリウム(He)とネオン(Ne)の混合気体、アルゴン(Ar)、炭 酸ガスCO3などが最も代表的なものである。低圧の気体は、数多くのケイ光線をもち、しかもそれらの多くが基底隼位より十分高い隼位の間の遷移に対応するので、負の温度の状態が実現しやすい。そのためほとんどすベての気体がレーザー媒体となる可能性をもっており、実際多く気体で成功している。気体レーザーは、他のレーザーと比ベて連続的発振が容易であり、発振光の位相がそろう度合もすぐれている。反面、粒子の密度が小さいため、単位長さ当りの増幅度は固体レーザーに比ベてかなり小さい。そのため気体レーザー装置は、ある程度長さの長いものになる。ポンピングは、ほとんどが放電によって行われ、出力はHe‐Neレーザーでふっう数十〜数百mW、Arレーザーで100mW〜数十W、CO3レーザーで数百Wの連続出力が得られている。 半導体レーザーの材料としては,ヒ化ガリウムGaAs、ヒ化インジウムInAsなどが用いられる。半導体レーザーは、電子や正孔を注入する方法によって電気的に直接励起することができる点が最大の特徴である。そのため入力エネルギーの出力光ヘの変換効率は数十%にもおよび、他のレーザーの数%に比べて格段に高い。また励起電流を変化させることによって容易に変調を行うことができる、応答が速い、装置が小型、軽量で、操作も簡単で取り扱いやすいなどの特徴があるが、出力は大きくない。 液体レーザーは、ユーロピウムイオンを含む数種の有機金属化合物をアルコールに溶かしたもの、などで発振が行われ、比較的大きな出力が得られている。励起にはキセノンフラッシュランプが用いられ、性質も固体レーザーに近い。

〔特徴〕

レーザー発振光の最も大きな特徴は、波長が同じで、しかも位相がそろっていることにあり、レーザーのもつさまざまの性質は、これと密接に関係している。これに対し、ふつうの光、たとえば白色電球の光など自然放出による光は、さまざまの波長の光が混じり、方向もぱらばらで、しかも位相の整然とした波は、長さにして1mくらいしか続かず、切れ切れの波が集まった光なのである。このため、ふつうの光をレンズで集めたにしても原理的に光原の大きさ以下にすることはできない。しかしレーザー光では、その位相がそろっているため、これをレンズなどで集束させた場合、光を小さい点に集めることができ、その集束点におけるエネルギー密度はたいヘんに高くなる。