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陰極線管

真空中を走る電子の流れである電子ビーム(電子緑、陰極線ともいう)がケイ光体に衝突するとき発光する現象を利用した電気信号を画像に変換する装置。1897年ブラウン K. F. Braun(1850〜1918)により発明されたためブラウン管とも呼ばれ、身近なものとしてテレビジョンの受像管があげられる。陰極線管は細い電子ビームを作る電子銃、その飛ぶ方向を上下左右ヘ振る偏向器、偏向された電子ビームの衝突により発光するケイ光面の3部分から構成されている。偏向器に適当な電気信号を入れ電子ビームを信号に応じて振ると、発光点(スポット)が対応して移動し線画を描くことができる。この方法は、オシロスコープなどで用いられているが、テレビジョンやレーダーの受像管では異なる方法で像を描く。たとえばテレビジョンの場合には、偏向器で電子ビームを左右に振り、それをゆっくり上下に動かすことにより、ケイ光面全面を発光点が動くようにする(走査)。目の残像効果により、こうするとケイ光面全体が一様に光るように見える。さて電子銃に電気信号を入れ、電子ビームの強度を変化させると、それに応じて発光点の輝度が変化する(輝度変調)ので、一様な 画面に明るさの濃淡をつけることができ、濃淡画像を描くことができる。電子銃は電熱加熱により電子を放出する陰極と、電子の放出量を制御する制御格子と、電子を加速しかつビーム状に集束する電子レンズより構成されている。輝度変調は制御格子の電圧を変化することにより行う。電子レンズでは幾つかの電極に直流電圧をかけ、電子を巧みに引いたり押したりして電子を細いビームとし、さらに一定の速さを与える。これを静電集束と呼ぶ。電子は磁界によっても力を受けるから、これを利用した磁気集束も用いられる。偏向器では一定の速さの電子ビームに力を与えてその方向を曲げるが、これにも静電偏向と磁気偏向の2種類が用いられる。電子が負の電圧に押され正の電圧に引かれることを利用したのが静電偏向であり、走行中の電子に垂直に磁界をかけると進行方向と磁界方向の双方に垂直な方向に力を受けることを利用したのが磁気偏向(電流と磁界の相互作用によるので電磁偏向ともいう)である。前者はオシロスコ−プに、後者は受像管によく用いられる。
ケイ光面は内部に硫化亜鉛等のケイ光体を塗布して作られる。カラーテレビジョン受像管は、三原色発色のため多少複雑な構造をしているが、原理は同一である。

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