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電動機

電気エネルギーを機械エネルギ―に変換する電気‐機械エネルギー変換装置の中で、回転トルクあるいは推力を発生するものを電動機またはモーターという。電気エネルギーを入力とするので、電源さえ近くにあれぱ発生トルク、したがって回転速度の制御が容易で、機関や油圧装置などのように補助装置を必要としない特徴がある。
トルクの発生は一般には電流と磁界の相互作用による電磁力を利用している。電動機には直流で動作する直流電動機と交流で動く交流電動機があり、後者はトルクを発生する原理により同期電動機と誘導電動機に分かれ、それぞれ異なる特性や応用分野をもつ。
回転型の電動機の構造は、固定子と呼ばれる静止部分と回転子と呼ぱれる回転部分からなる。固定子には電磁力を発生するための電気回路に相当する巻線と、磁気回路を構成し回転子や巻線を支持する鉄でできた構造部分があり、回転子は同様に巻線またはそれと等価な働きをする導体部分と、鉄心と呼ばれる磁気回路からなる。巻線部分はいずれも機械力を受けるので、みぞを切った中に納めて鉄部分に力を伝えるようにしてあり、電気的には巻線表面の絶縁物で鉄部分から絶縁してある。巻線の損失による温度上昇で絶縁物が劣化するのが、電動機の使用上の限界の基準であり、指定された定格値より過大な電流を流しつづけることがないように注意が必要であるとともに、変動する機械負荷に対してはこの点が考慮されて定格が定められている。回転子に外部から電流を流す形式の電動機では、固定された炭素ブラシと回転するスリップリングあるいは整流子の機構が用いられるが、保守、信頼性上の難点がある。最近では回転型電動機の構造を平面上に展開したリニアモーターが、直線状の推力を発散する装置として高速鉄道の推進用あるいはカタパルトに実用されてきている。リニアモーターは可動部分と固定子の間のすきまを回転型よりはるかに大きくとらねぱならないので、回転型より力率や効率は低下するが、可動体に直接推力を発生できる点で推進性能上の特徴をもつ。
電動機の出力は電子時計、シネカメラや模型用の数分の1W以下の超小型のものから、製鉄圧延機駆動用の1万kW級のものまできわめて広範であり、工場や家庭で多数使用される汎用品は標準化され、系列化されている。特殊な構造で屋外や水中で使用できるもの、鉱山で火花による爆発を生じないようにしたものもある。