地上から高度20〜30Hのところに、オゾンがたくさん含まれている場所があります。この層を「オゾン層」と呼んでいます。このオゾン層は、わたしたちが地球上で生きるためにとっても大切な役目を持っています。オゾン層の役目は、

 1. 地球の大気の温度をコントロールする

 2. 生物にとって有害な紫外線(しがいせん)を吸収して、地上に届かないようにする

の二つです。

 「紫外線」は、日焼けに関係しています。夏になると紫外線の量が増えて、長い時間外にいると真っ黒に日焼けします。ですが、「日焼けは肌によくない」といわれるように、紫外線をあまりに多く浴びると皮ふガンを引き起こす原因になります。しかし、紫外線を浴びる量があまりに少なすぎても病気になってしまいます。紫外線は、多すぎても少なすぎても生物のからだに悪影響をもたらすのです。

 太陽から直接やってくる紫外線はとても強く、このまま地球上に届いてしまうと生物は存在することができません。オゾン層はこの紫外線を吸収して、地上に届く紫外線の量を生物が存在できる程度に調節する役目を果たしているのです。

 近年、このオゾン層の破壊が問題になっています。南極での観測の結果、その上空にオゾン層が異常に薄くなっているところがあることが明らかになり、「オゾンホール」と呼ばれるようになりました。南極上空のオゾンの量は年々減ってきており、オゾンの薄い部分が少しずつ拡大していっています。人工衛生による観測でも、1980年ごろと1990年ごろの10年間で、オゾンの密度が半分以下になっているという結果が出ています。

 このようなオゾン層の破壊の原因は、わたしたち人間が使うフロンガスにあります。フロンガスは、冷蔵庫を冷やすための冷媒(れいばい)、ヘアスプレーなどのガス、半導体の洗浄などに使われています。オゾンホールが見つかって、フロンガスの使用が規制されましたが、フロンガスは安定した性質を持っており、何年もの間に大量に使われたフロンガスが現在も大気中を上昇して、オゾン層でオゾンが作られるのをさまたげているのです。

 これまでわたしたち生物を守ってくれていたオゾン層がなくなってしまったら、どうなってしまうでしょう? これ以上オゾンホールを広げないように、わたしたちひとりひとりが努力しなければならないのです。