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NUTRITION #07
エネルギー源・炭水化物/炭水化物の基礎知識

炭水化物の基礎知識

●人間は、エネルギー源のすべてを食べ物に頼っています。なかでも炭水化物は活動のためのエネルギー源として重要であり、スポーツ選手であればなおさらその存在は無視できません。そのエネルギー源が不足した場合、どのような問題が発生するのでしょうか。●エネルギー源が不足してくると言うことは直接、筋肉を動かすエネルギーが不足してくることにつながります。炭水化物の不足が原因で、全く筋肉が動かなくなるようなことはありませんが、気づかないうちに瞬発力を欠いたり、細かなミスが発生するなどのパフォーマンス低下につながります。●もう一つ大切なことは、脳のエネルギーのほとんどが炭水化物によってまかなわれていると言うことです。脳は、炭水化物が分解された状態である[ブドウ糖]を血液から取り込んで、それをエネルギーとして利用しています。そのため、[ブドウ糖]が不足するを脳の活動にも影響が出てきます。瞬間的に判断を下したり、相手の動きを読んだりする集中力が欠けてくるのです。●活動のためのエネルギーが足りなくなると、体は別の栄養素をエネルギーとして使うようになります。その時使われるのが、体内の脂肪とたんぱく質です。余分な脂肪がなくなる分には都合がいいのですが、その際同時にたんぱく質、すなわち筋肉そのものも分解されて使われてしまうのです。

ブドウ糖
グルコースとも呼ばれています。脳の活動エネルギーで、血中のブドウ糖[血糖]の値である[血糖値]が下がってくると空腹感を感じます。

タイミングがカギを握る

●炭水化物によるエネルギー補給を行う上で重要なことがあります。ひとつは、一度に補給できるエネルギーの量には限界があるということです。つまり、炭水化物を蓄えるタンクの容量が決まっているようなものです。余分に摂ってしまったエネルギーは、体脂肪に変換され、蓄えられることになります。特に夕食や夜食で炭水化物を摂りすぎるとその使いみちがなくなり、余分なエネルギーが体脂肪として蓄えられやすくなるので気をつけましょう。●もう一つは当然ですが、一度限界まで補給したエネルギーも時間が経てば減っていくということです。時間が経ちすぎたことに気づかず、試合のときにエネルギーが足りなくなっていると、パフォーマンスに影響することもあります。●以上の二つから、エネルギー補給を上手に行うためには[タイミング]が重要であるといえます。一度にたくさん摂るのではなく、三回の食事や間食に上手なバランスで摂取量を配分していくのです。それでも補給できない場合、ボディー・ビルダーなどの中には食事を5〜6回とって補うこともありますが、まずは三回の食事を充実させることが大切です。また、練習や試合の前後にも適切な量をサプリメントでとるようにしましょう。


種類と摂取タイミング

●炭水化物を摂る上で考えておかなければならないもののひとつは[摂取タイミング]です。同じ炭水化物でも、その形状や性質によって何種類かに分類することができます。同じ炭水化物の中でも種類によって消化・吸収のスピードが違います。これらの中からその時々の[タイミング]に適したものを選んでとることが、最も合理的な方法といえます。●日常の食事においては[複合炭水化物]が適しています。代表的な食べ物としてはごはんやうどん、そば、パン、パスタなどがあげられます。これらは消化吸収がゆっくりと進み、ビタミンやミネラルなどの栄養素も同時にとることができます。対して、消化・吸収の早い炭水化物としては次の三つをあげることができます。●[単糖類]炭水化物が最小の単位まで分解された形が単糖で、ブドウ糖や果糖などがあります。●[二糖類]単糖が二つつながったものです。麦芽糖、ショ糖(砂糖など)、乳糖の三種類があります。●[少糖類]単糖が数個から数十個つながったもので、オリゴ糖などがあります。●以上の三種類を[単純炭水化物]と言い、これに対して単糖が数百から数千個つながったものを[多糖類]といいます。[複合炭水化物]というとき、一般的にはこの[多糖類]をさします。日常の生活では消化・吸収のゆっくりした[複合炭水化物]を、試合や練習の前後には消化・吸収のはやい食品をとることでタイミングのよい炭水化物補給が行えるのです。


グリセミック指数とは?
●炭水化物を摂る上で考えなければいけないことのもうひとつは[消化吸収の速度]があげられます。グリセミック指数は、摂った炭水化物が体内に消化・吸収される速度を、ブドウ糖を100として相対的な数値で示したものです。数値が高いほど、消化・吸収の速度が速くなります。●グリセミック指数が高い食品でエネルギーを摂取すると、血中のブドウ糖が増加します。血糖値が上昇するとは、このことです。それに対し、インシュリンと言うホルモンが放出され、血糖値が上昇しすぎるのを防ぎます。このブドウ糖摂取とインシュリンの放出が急すぎると、ブドウ糖が有効に使われません。また、インシュリンが急激に出ることでインシュリン反応性の低血糖状態を招いてしまうことにもなります。一般にグリセミック指数の低い[複合炭水化物]がすすめられるのはこうした理由からです。いわば[腹持ちのいい食品]ということです。下の表をメニューの参考にしてみてください。なお、表の数値は単独で摂取した場合で、他の食品と組み合わせて摂った場合はこの数値よりは下がると考えてください。
マルトース[麦芽糖] 105 そば粉 51
グルコース[ブドウ糖]

100

さつまいも 48
ベイクド・ポテト 98 オレンジジュース 46
にんじん

92

パスタ

42

コーンフレーク

80 りんご 39
パン

72

アイスクリーム 36
白米 72 ヨーグルト

36

新ジャガイモ 70 ヒヨコマメ 36
シリアル 67 インゲン豆 31
玄米 66 果糖 20

カーボ・ローディングとは?

●筋グリコーゲンを試合当日に向けて蓄えておくのが[カーボローディング]です。カーボローディングは、持久性の競技には特に有効だと考えられています。もちろんその時々の栄養補給も大切なのですが、計画的に炭水化物の貯蔵量をふやしていく[カーボローディング]の方法を簡単に説明しましょう。●試合の一週間前から練習量を落とし、試合に向けて体調を整えていきます。大きな負荷のかかるトレーニングは避け、練習時間も長くならないようにします。●試合の3〜5日前から、通常の食事に加えて炭水化物を増やしていきます。摂る炭水化物は複合炭水化物を中心にします。ただし、菓子や甘いパンなどで炭水化物を増やすのはあまりよくありません。それだけで食欲が満たされ、その後の食事で通常の量すら取れなくなる可能性があるからです。また、そのことで他の栄養素の摂取量が減ってしまうことにもつながります。●試合の前日や当日も炭水化物中心の食事にしますが、全体の摂取量は通常程度に戻します。●まとめると、試合の3〜5日前から、炭水化物をいつもより多く摂るということです。しかし、ここで問題なのは通常より炭水化物をどれだけ多く摂るかと言うことです。これはいろいろな専門書によって言い方もちがうので、ふだんの練習の中で予行演習を行って、どれだけ炭水化物を増やせば自分にとって一番コンディションがいいのかと言うことを把握しておく必要があるでしょう。また、食事で炭水化物を増やすのが難しいなら、サプリメントを利用すると便利です。ドリンクタイプやゼリータイプのものなら、おなかがすいていなくても摂ることができます。

グリコーゲン
ブドウ糖から作られ、体内に蓄えられる貯蔵エネルギー源。激しい運動時のエネルギー源として使われます。肝臓に蓄えられる[肝グリコーゲン]と筋肉に蓄えられる[筋グリコーゲン]があります。


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