肝臓

 肝臓は働き者である。炭水化物・脂肪・タンパク質といった生命維持に必要不可欠な三大栄養素をエネルギーに変換する。同時にグリコーゲン・中性脂肪・鉄分・ビタミンなどを貯える。また、胆汁を作り、胆嚢に送り出し、アルコールや薬・アンモニアなど、体に有害な物質を分解・処理する解毒作用まで行うのである。驚くことに肝臓はこのほかにも500以上もの機能をもっている。


 肝臓は重さ1.5Lあり、外見はからだの中で最大である。場所は横隔膜の直下、みぞおちより右側のほうに位 置し、下方は胃・横行結腸・腎臓などと接している。肝臓の大部分は肋骨におおわれ、外から見ることも触れることもできない。肝臓はまた、じつに忍耐強い。肝臓の3分の2がダメージを受けていても、肝機能は表面 上ほとんど正常なのである。肝臓は左右二葉に分かれ、左右体積比が1:5である。また、血管の配置がふつうの臓器のように動脈→毛細血管→静脈という単純なシステムではない。肝動脈と門脈というふたつの血管によって血流を受け、肝動脈は酸素を供給し、門脈は消化管から吸収された栄養素や毒素を肝臓に送り込むという仕組みになっている。

小腸で吸収されたアミノ酸やブドウ糖は門脈を通って、肝臓に運ばれます。肝臓の下面中央の肝門から肝動脈、門脈、リンパ官などが肝臓に出入りしています。

 また、肝臓の下面には肝のうという親指ほどの大きさの袋があり、肝臓でつくられる胆汁を一時蓄え、小腸内に脂肪の消化産物がくると収縮して胆汁を十二指腸へ送り出しています。

 0.05〜0.1%――体重70Lの人がビール大ビン1本を30分で飲んだときの血液中アルコール濃度。いわゆるホロ酔い状態である。顔が赤く、快活になる。なお、酒気帯び運転になるかならないかの境界は0.049%といわれている。

 0.1〜0.15%――軽い酩酊。多弁、多動で発揚状態となる。上司や同僚の悪口が飛び出してくる頃。まあ、このあたりまではいい酒といっていいだろう。

 0.15〜0.25%――この段階になるとロレツがあやしく言語不明瞭となる。小脳も抑制されてくるため、軽いふらつきも現れてくる。酒を飲んでいて、手足がだるくなったりするのもこの時期。これは、血液中のカリウムなどの電解質が滅るための症状といわれている。柑橘類にはカリウムが豊富だ。

 だるいくらいならいいが、ひっくりかえってしまうと、なかなかやっかいだ。

 0.25〜0.35%――顔面蒼白になり冷汗・悪心嘔吐。歩行不能となり、意識も混濁してくる。ただの酔っ払いである。面 倒をみなくてはならないときは、からだを横向きにして、吐いたものが気管に入らないように注意する。下手すると窒息してしまうことがあるからだ。

 0.35〜0.5%――昏睡・呼吸マヒ。死の危険あり。やばい状態である。つねっても反応がなけれぱ紋急車を呼ぶのが正しい。

 アルコールを体内に取り入れると、肝臓での脂肪の分解が抑制される。また同時に、中性脂肪の材料となる脂肪酸の合成も高まる。このため、肝細胞の中に油滴がたまり、肝臓は腫れてしまう。これが脂肪肝――人間フォアグラといわれる状態だ。脂肪のたまった肝臓は血液の循環が妨げられ、細胞の働きも悪くなることは言うまでもない。1日5合の酒を一週間、あるいは一升酒を2日続ければ、誰でもこのフォアグラ肝臓になれる。初期の段階なら、2、3週間飲むのをやめれば、肝臓はすっかりもとにもどる。脂肪肝の状態では、たいした自覚症状はない。「少しかったるいかな」程度である。だからといって、同じことを何度も繰り返していると、アルコール性の肝炎、そして肝硬変へと移行する。こうなると、もう元にはもどらない。