十干と十二支
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干での唯一絶対の存在は「混沌」である。
 易で、混沌から生まれ出でた二つの気 は「陰」と「陽」だった。(詳しくは陰陽説を参照されたし)
 この二気から「木火土金水」という五気が生じるが、十干では、これが更に「兄弟」の陰陽に分かれる。

 五行配当表で、一つの覧に二つ文字が書いてあった事に対し、疑問を感じた方もいらっしゃったことだろう。
 つまり、木気にあった甲・乙は、木の兄=甲で、木の弟=乙という様に、分化していたのである。

 元の性質は同じであるが、兄(陽)の方は何事も果敢だが、弟(陰)の方は何事も地味であることが特徴である。


兄(甲)大樹 弟(乙)灌木
兄(丙)太陽の光熱 弟(丁)ろうそくの火
兄(戊)山の土 弟(己)田畑の土
兄(庚)剛金 弟(辛)柔金
兄(壬)海洋・大河の水 弟(癸)水滴・雨露の水


 十干は、十個ある各文字に、万物の栄枯盛衰を表す意味がある。そして、それらは繰り返される事も表している。


 「甲」 はヨロイで、草木の種子がまた厚皮を被っている状態。
 「乙」 は軋るで、草木の幼芽のまだ伸長し得ず、屈曲の状態。
 「丙」 は炳らかで、草木が伸長して、その形体が著明になった状態。
 「丁」 は壮と同義で、草木の形態の充実した状態。
 「戊」 は茂るで、草木の繁茂して盛大になった状態。
 「己」 は紀で、草木の繁茂して盛大となり、かつその条理の整った状態。
 「庚」 は更まるで、草木の成熟団結して行きつまった結果、自ずから新しいも のに改まってゆこうとする状態。
 「辛」 は新で、草木の枯死してまた新しくなろうとする事。
 「壬」 は妊で、草木の種子の内部に更に新しいものが妊れる事を指す。
 「癸」 は揆るで、種子の内部に妊まれた生命胎の長さが、度られる程になったという象。
 ついで帽子をかぶってムクムクと動き出す「甲」となるわけである。(吉野裕子氏の著書より引用)


 十干と組み合わされるものが十二支である。
 その十二支が拠り所としているのが、五惑星の中で最も尊いとされた木星の運行である。

 木星の運行は十二年(正確には十一.八六年)で天を一周する木星は太陽や月とは逆に、西から東に向かって移動す るので、仮の星を設け、これを東から西へ移動させる事にした。
 この星は想像上の星であるが、神霊化されて「太歳」という名称で呼ばれている。
 この太歳の十二区分さ れた居所につけた名が、子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥の十二支である。

 十二支は、年だけでなく、月日や時刻、方位にも配当される。
 それらは、文章で説明するより、図を見た方が分かりやすいので、図を御覧頂きたい。


 十二支には、十二獣が配されるが、元々、十二個ある各文字の示す意味は、十干と大体等しい。

「子」 は孳るで、新しい生命が種子の内部から萌し始める状態。
「丑」 は紐で、からむこと。芽が種子の内部でまだ伸びえぬ状態。
「寅」 は動くで、草木の発生する状態。
「卯」 は茂るで、草木が自然を蔽う状態。
「辰」 は振うで、陽気動き、雷がきらめき、振動し、草木が伸長する状態。
「巳」 は巳むで、万物が繁盛の極になった状態。
「午」 は忤だうで、万物にはじめて衰微の傾向がおこりはじめたさま。
「未」 は味わうで、万物が成熟して滋味を生じたさま。
「申」 は呻くで、万物が成熟して締めつけられ、固まってゆく状態。
「酉」 は縮むで、万物が成熟に達し、むしろちぢむ状態。
「戌」 は滅ぶで、または切ることで、万物が滅びゆく状態。
「亥」 はとぢるで、万物の生命力が凋落し、すでに種子の内部に生命が内蔵さ れた様。(吉野裕子氏の著書より引用)

 中国では、古く殷の時代から、十干と十二支が組み合わせられ、十と十二の最小公 倍数である六十の周期で日が数えられたそうだ。
 この組み合わせは、甲子にはじまり 癸亥に終わる。
 六十の絵との組み合わせを一巡することは、一つの人生を生ききったことを意味し、新たに次の人生を生きるということとなり、これを還暦という。

 十干 に陰陽があるように、十二支にも陰陽があり、陽干と陽支、陰干と陰支が結びつく仕 組みとなっている。
 詳しくは、六十花甲子表を御覧頂きたい。それと共に、十干十二 支の相関図も参照されたし。




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