小腸のしくみ

小腸のしくみ

小腸のつくり

　小腸の内壁には多数のヒダがある。
　ヒダの表面は柔毛（柔突起）という小さな突起で覆われている。

柔毛（柔突起）

　柔毛は長さ１ミリメートルほどの突起で、小腸の内壁に１平方メートルに２０～４０本もある。
　これによって、養分を吸収する面積が非常に広くなる利点がある。
　内部には多くの毛細血管やリンパ管が分布している。

養分の吸収

　消化された養分は柔毛の表面の細胞を通過し、内部の毛細血管やリンパ管に吸収される。

・ブドウ糖とアミノ酸
　　　->毛細血管に吸収され、血液中の血しょうに溶け込み静脈へ
・脂肪酸とグリセリン
　　　->柔毛内で脂肪に合成され、細いリンパ管に吸収される

＊リンパ管に吸収された脂肪は、リンパと共に送られ最後は静脈血と混ざる

ちょっと難関コーナー

小腸の構造

　小腸は、腹腔という小さな空間に収まっていますが、その粘膜上皮の表面は、さまざまな工夫によって広大な面積に広がっています。その工夫には、肉眼的なものも顕微鏡的なものもあります。これにより小腸は、消化された栄養分を効率良く吸収することができるのです。
効率よく栄養分を吸収するしかけ

＊その１

　まず、その工夫の第一は、小腸の長さです。食道から直腸まで消化管の長さはおよそ８メートルですが、小腸はその大部分の６メートルほど占めています。これだけの長さのものが、腹腔の中に折りたたまれて収まっているのです。
　小腸を腹腔の中に収めるには、長いホースを丸めて箱に押し込めるようなわけにはいきません。小腸は生きた器官なので、動脈と静脈、さらにリンパ管や神経が入り込んでいます。これらの脈管や神経は、腸間膜を通って小腸に入ります。腹腔の背側の壁をみると、腸間膜の付け根の長さはわずか２０センチほどしかありませんが、そこからぶら下がった腸間膜の裾で、小腸は６メートルにも伸びています。腸間膜と小腸は、短いカーテンレールから垂れ下がった、極端にヒダの多いカーテンのようなものです。

＊その２

　小腸の粘膜を広げる第二のしかけは、小腸の内面に飛び出した輪状のヒダです。これにより、粘膜の面積を約３倍に広げています。

＊その３

　さらに第三のしかけとして、粘膜の表面には腸絨毛という突起や腸陰か（腸線）という窪みがたくさんあって、表面積をさらに１０倍に広げています。その結果、小腸の粘膜の表面積は、約２０メートルにもなり、これは十二畳の部屋の広さにあたります。
　小腸の粘膜の表面積は、胃と同じように単層の円柱状の上皮細胞によって覆われています。物質の吸収や分泌には適していますが、容易に壊れてしまいます。小腸の粘膜を覆う上皮細胞は、約２５００億個にもなりますが、傷つきやすい粘膜を健全な状態に保つために、絶えず新しい細胞が補充され、古い細胞と置きかわっています。
　新しい上皮細胞は、腸陰かの底で細胞分裂によって作られます。腸陰かの底で生まれて、腸絨毛の先端から脱落するまでの上皮細胞の一生は、わずか数日と見積もられています。
小腸の働き

　栄養分の吸収は、おもに小腸で行われます。胃で分泌される胃液、十二指腸に注ぎ込まれる膵液、そして小腸の分泌する腸液に含まれる消化酵素によって、食物の消化が進み、粘膜の上皮から吸収できるような形にまで、化学的に分解されるのです。