放射線について

  1. 放射線・その特徴
  2. 放射線の種類

放射線の種類

  1. アルファ線     
  2. ベータ線     
  3. ガンマ線     
  4. X線     
  5. 中性子線

アルファ線
 アルファ線は原子核がアルファ崩壊を起こしたときに放出される放射線です。アルファ崩壊では陽子が2、質量数が4減少して新しい原子をつくり安定になろうとする崩壊です。そのときに外に放出されるものがアルファ線の正体で、中性子2個と陽子2個からできているヘリウムの原子核です。ほかの放射線よりもエネルギーと粒が大きいのでアルファ線は近くのものに与えるエネルギーは大きいけれど、すぐにエネルギーを失ってしまい透過力が弱く紙1枚で遮断できる放射線です。このため外からアルファ線を浴びても、皮膚でさえぎられ人体への害はありません。しかしアルファ線を放出する物質が体内に取り込まれると直接組織や臓器に影響を与え、臓器の1つの細胞などの小さい範囲に長くアルファ線を放射するため大変危険です。アルファ線は強力な電離作用を持つため細胞を構成する原子の電子をはじきだし、電子は細胞核やDNAを傷つけ、がんや遺伝的問題を引き起こします。ラドンは天然に存在する唯一のアルファ線を放出する気体です。すべてのウランやプルトニウム241以外のプルトニウムはアルファ線を放出します。吸入されたプルトニウムが二酸化プルトニウムなら肺ガン、硝酸プルトニウムなら肝臓ガンになることが多いといわれています。
ベータ線
 ベータ線は原子核がベータ崩壊を起こしたときに放出される放射線です。ベータ崩壊とは中性子1つが陽子になりバランスをとって安定になろうとする崩壊で中性子1個から陽子1個と電子1個と中性微子ができます。ベータ崩壊では原子は違う種類の原子になりますが質量数は変化しません。このときに高速で放出される電子がベータ線です。ベータ線は空気中は透過しますが薄い金属板で遮断できます。透過力がアルファ線よりも強い分電離作用はアルファ線より弱くなっています。原子炉の中でウラン238からプルトニウムが生成される時などに発生します。
ガンマ線
 原子核が崩壊したときに必要なくなったエネルギーがガンマ線でアルファ線やベータ線と異なり電荷を持たない放射線です。アルファ崩壊、ベータ崩壊の時に不要になったエネルギーの分アルファ線、ベータ線とともに放出されています。ガンマ線は電波と同じ電磁波で物質を透過する力が大きく、被曝すると外部からでも体の奥深くまで到達します。コンクリートの壁や鉛の板で遮断することができ、ベータ線よりも弱い電離作用を持っています。
X線
 1895年にウィルヘルム・C.レントゲンによって発見された放射線で、電磁波の一種です。病院でレントゲン写真に使われているように透過力は大きく人体を貫通します。また、電離作用が弱いため人体に放射することができます。
中性子線
 中性子からできている放射線で透過力が大きく、原子に吸収されると違う種類の原子を作る性質があります。主に核分裂の時に発生します。中性子線は、核分裂を引き起こしたり、プルトニウム239からプルトニウムの同位体を生成したりします。1999年東海村の核燃料施設における臨界事故では、この中性子線が最も被害をもたらしました。

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