4.アリストクセノスのアプローチ

  アリストクセノス(前4世紀)は、テトラコードの3つの種類をより厳密に規定する方法を考案した。その方法とはピタゴラスの学派とは異なるものであった。音程を比率による論理よりもむしろ感覚的に規定し、聴くことに基準を置きながら音程を音の間隔として捉えようとしたのである。

 アリストクセノスはテトラコードを30の単位(半音を6つに分けた単位)に分割した。エンハーモニックに含まれる微分音程は約四分の一音(50セント)に相当する。ピタゴラス音律では、204セントの全音と90セントの半音の二つしかなく、エンハーモニックの微分音程に対応できない。が、アリストクセノスの微分音程なら微分音程をあらわすことが可能になる。さらにアリストクセノスはクロアイという種類にテトラコードを分類している。テトラコードの名前に、「ソフト」、「インテンス」という接頭語をつけ、細分化をはかった。

このような方法によって、それまで比率の数的な世界に閉じ込められていた音程に、より感覚的な広がりを与えることになった。