静寂之巻





茶会の心得

 茶をもって友と交わり、親しい者らが相会して楽しむを茶会という。
主旨は賓主和楽である。ゆえに窮屈になることではなく誰にでも心やすく
会合し得るもので茶会は決して堅苦しいものではない。


茶会の種別

 昔は茶会と言っており紹鴎、利休居土の時代には茶の湯と称し、
現今では茶事とも言うようになった。
 茶会は催す時季によって区別がある。


 口切…十一月上旬に催す。茶壺の口を切りその年の新茶を
    初めて共する茶会。

 開炉…十一月上旬、炉を開いて行う。(口切の茶が開炉を兼ねることもある)

 夜咄…午後5時ごろ茶会。歳暮や冬の夜長に催す。

 大福…正月元旦に点てられるお茶で厄を除き福をもたらす。

 新春の茶…大福茶に続き新春の初釜が催される。

 暁…厳寒のころ催す。

 初風炉…新緑のころの茶会。風炉に変わって早々に催す。

 朝茶…真夏の朝の茶会。午後六・七時ごろ参会。

 名残…晩秋十月中旬ごろから開炉までの風炉の最後に催す。
    また時刻によっても区別がある。

 正午…利休時代までは昼の会合を昼会、夜の会合を夜会と言ったが
    今は正午の会を正午の茶会という。基準の形式の茶事。

 前茶…正午より少し時刻を早め案内する。懐石を出す前の濃茶に
    振舞う形式である。

 飯後…食後の会で朝なら午前九時ごろ、昼なら午後三時ごろに参会。
    菓子のみ出すため菓子の茶ともいう。

 不時…不意の来客など決めなく行われる。
    なお茶会の趣によって茶会がある。

 跡見…高貴な方、珍客等のお茶会の跡を見るときの茶会。

 残火…亭主が侘人で改めて茶会もなりにくい人に茶会があった時、
    その模様なりとも見たいと望んで参会する。

 独会…親しい客一人を招いて催す会で一客一亭ともいう。

     他にも四季おりおりに因んだ茶会、年回、法要など仏事の会
     などがある。風炉の茶会も大体炉と同じである。


七事式


 七事式とは花月、且座、茶カブキ、廻り炭、廻り花、一二三、員茶(数茶)
のことである。そのうち茶カブキ、廻り炭、廻り花の三事は利休時代からあったが
他の四事は如心斎が後に制定したものである。「七事」の名は碧巖の語に七事随身
とあるのに基づいて名付けた。ただし廻り炭は炉の時節のみで開炉の時節にはこれ
に替る花寄せの式がある。

花月

 花月は初め花鳥と言った。四季の花鳥の礼で主客を定め春は梅に雉子、
夏は桐に鸞、秋は菊に鶴、冬は松に鷹の礼を用いたのを後、四季に通用するように
花月に改めた。礼数のとおり人数は主客とも五人である。花月の文字、または花月
の画を書いて花鳥の礼に替える。礼を取って花に当たった人が亭主となり、月に当
たった人が客となり茶を飲む。一回のうちに次客と四客とに月・花が当たるのを
挾み箱といい、三客と四客とに月・花の当たるのを双箱(二つ箱)という。

且茶

 且座は正客に花、次客に炭、三客に香を所望し、東が濃茶を点て、半東が薄茶を
点てる式法である。東とは亭主、半東とは亭主の補佐役のことである。

 客が三人、東、半東と五人を定数とする。

茶カブキ

 茶カブキは初め試茶を飲み、次に本茶を飲んで、茶銘を当てる式法である。
 昔の闘茶の趣向を残して、茶四種に客茶を加えて九服点とし(試茶四服、本茶五服)
または茶三種に客茶を加えて七服点とし、あるいは茶ニ種に客茶を加えて五服点と
種々があったが、現今では茶ニ種に客茶を加えて五服点となった(試茶ニ服、本茶三服
都合五服点である)。

廻り炭

 廻り炭は炉の時の炭つぎの研究である。主客がかわるがわる炭をついでその技を
練る式法である。

廻り花

 廻り花は花の生け方の研究である。主客が花を生けてその技を練る式法である。

花寄せ

 花入は色々の種類を取合せて(大体客数に応じて用意する)、床、書院、座中
などに葭屏風、垂撥、薄板、花鎖などを使って飾付けする。花は時候の花をいろいろ
寄せ集めて花台、花盆、花蘢等、数を限らず盛って用意する。
 茶会に用いないような花も寄せ集めてよい。

一二三

 一二三は亭主の点前を見て採点する式法である。
 一二三には十種香の礼を借りて用いる。採点には上、中、下の位を打ち、月の
一、二、三を上とし、無地の一、二、三を中とし、花の一、二、三を下とする。
客礼は、とびはなれていいとき、あるいは悪いときに用いる。

員茶(数茶)

 員茶は亭主の点てた薄茶を、客は礼を引いて、当たった客から順に飲む方法である。





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