うなぎは未来に残せるか―減少理由

うなぎの漁獲量は年々減少傾向を辿っています。5月に千葉県にある東京大学大気海洋研究所を訪れその減少理由について詳しく伺いました。

うなぎは未来に残せるか

減少理由

概要


・減少理由は主に ①気候変動②生息環境の悪化③乱獲 の3つ
・この中で私たちにも重大な責任があり、解決のためにアクションできるのは…

うなぎ離れの要因でもある、価格上昇はうなぎの減少によって引き起こされているのです。
私たちは5月に千葉県柏市にある東京大学大気海洋研究所を訪問し、減少理由について尋ねました。
東京大気海洋研究所 研究室関係者撮影

①気候変動
気候変動の一つがエルニーニョ現象です。ニホンウナギの産卵場所は近年グアム島付近と研究でわかり、羽化すると「レプトセファルス」という仔魚になります。
通常であればこの仔魚が北緯14度から日本へ進みますが、エルニーニョ現象が発生すると北緯13度より南へ回遊し、死滅してしまいます。これはレプトセファルスが目印にしている塩分フロント(塩分濃度の異なる水塊がぶつかり合う境目)がエルニーニョ現象により南下してしまうことが原因といわれています。
以上をまとめたものが下のイラストです。
通常       死滅海流
      (通常)                    (死滅海流)

訪問前私たちは地球温暖化が何らかの影響を与えているのではないかと考えていたのですが、それについて尋ねたところ関係があるかどうかは現在調査中とのことでした。


②生息環境の悪化
うなぎは海で産卵し、川を遡上して成長していくのですが、近年川は氾濫や高波から内陸を守るための護岸工事がなされています。うなぎは稚魚のときに軟らかいミミズ、カゲロウ、多毛類などの種類豊富なエサを食べて成長をしていきますが、護岸工事によりこれらの生物が生息できなくなり、結果的にうなぎのエサがなくなってしまいます。研究で護岸率が高いほど成長率が低いということがわかってきています。
また川にダムなどの構造物があると川を遡上できず、また魚道が設置されていてもそこに水が張られていないなどの問題などもあります。


③乱獲問題
うなぎは天然のシラスウナギを捕獲して、それを人の手によって育てています。しかし、ここでただ利益を求めるばかりに親うなぎやシラスウナギを乱獲するという事態が起こり、漁獲量が年々減少してしまっているのです。
このうち①.②は高校生である私たちが解決することは難しいです。気候変動は自然の摂理です。護岸工事は人間が生活するうえで必要なものであり、改善するにも建設などの問題が関わってきます。しかし乱獲については何らかの形で解決策を提案できるのではないかと私達は考えました。

乱獲は漁業側に責任があり、また消費している私たちにも責任があるからです。

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