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飛行機のアレルゲン対応食とは

メンバーの一人が、2017年の夏休み期間中、学校の研修プログラムでシンガポールに一週間ほど訪問しました。
シンガポールに行くにはもちろん飛行機に乗るのですが、国際線の飛行機ではLCCや一部の航空会社を除き機内食が出ます。

実は、機内食は航空会社によっても違いますがアレルギー対応がなされていて、今回私が搭乗した全日空(ANA)では、数ある「特別機内食(ベジタリアン、シーフード、宗教メニューなど)」の中に「アレルゲン対応食」というのが何種類か存在します。アレルギー対応食はアレルギーではない人でも事前注文をすれば食べることができます。

今回はシンガポール滞在中にアレルゲン対応食の存在を思い出したので、ANAのホームページを閲覧したところ、

  • 「7品目アレルゲン対応食」(⇒特定原材料7品目を除いたもの)
  • 「27品目アレルゲン対応食」(⇒特定原材料7品目+推奨品目20品目)
  • 「27品目アレルゲン対応乳児食」(⇒上の乳児食版)

の3つの対応食が用意されていることがわかりました。
これらは、アレルゲンの混入を徹底的に防止した機内食で、航空会社の工場ではなくアレルギー対応食専門の業者で調製しているそうです。
アレルゲン対応食は電話のみ、フライト出発96時間前までの申し込み【2017年8月時点・2017年11月からは※追記参照】となっています。

できればアレルゲン対応食を試してみたかったのですが、思い立った時には96時間前を過ぎていたので、アレルゲン対応食の中には入っていませんが特別機内食に含まれる、欧米人に多いグルテン不耐症(小麦アレルギーとは違うもの)に配慮したグルテン対応ミールを今回は食べてみました。これはもちろん、小麦アレルギーの人も安心して食べることができると思われます。また、インターネット申し込みもできて、通常のアレルゲン対応食より手軽に注文できます。

2017年12月25日 ※追記
12月、全日空の国内線に搭乗したところ、2017年11月からアレルゲン対応食の申し込みが日本出発便はフライト出発24時間前まで、日本到着便は48時間前までとなった旨が機内誌に掲載されていました。
申込期間に余裕ができ、グッと便利になったと筆者は感じました。アレルギー持ちの人にはとても使いやすくなったといえます。

搭乗便の情報

2017年9月1日発
NH844
シンガポール(SINGAPORE/SIN(22:15))⇒羽田空港(TOKYO/HND)

搭乗から夜食(一食目)まで

搭乗後、CAさんが自分の席に写真のようなシールを貼りに来てくれました。GFMLは、Gluten-free Mealの訳だと思われます。ちなみにANAのホームページを見ると、他のANAの特別機内食にもそれぞれの機内食ごとに特別な略号が付与されているようです。

離陸後しばらくしたら、機内食(夜食・軽食)の配膳が始まりましたが、グルテン対応食は、一番初めに持ってきてくれました(以前チャイルドミールを頼んだ時も通常より早くでてきたので、特別機内食は一律でこのような対応になっていると思われます)。
出てきた機内食は写真の通りです。水、おしぼりと、パフにスモークサーモン、レタス、ソースを挟んだものでした。なかなかおいしかったです。

ちなみに、通常の機内食では、ポテトチップス、マフィンがでました。一般的なマフィンはもちろん小麦粉から作られていますし、ポテトチップスには小麦粉と同じ設備で作られている旨の表示(コンタミネーション表示)があります。

朝食(二食目)

搭乗した便は東京に朝到着する深夜便なので、到着前に朝食がでますが、ここでもグルテン対応で通常の機内食と違うものがでました。

内訳は、マッシュルーム、インゲン、卵白を固めたものをトマトソース(?)で煮たもの、パフ、マーガリン、ささみのサラダ(ささみ、水菜、トマト、ドレッシング)、メロン、豆乳です。

通常の機内食は、うどん、ソフトロール、バター、フルーツ、ヨーグルト、「マッシュルームのフリッタータ ポークソーセージ添え」がでました。グルテン対応食と比較してみると、小麦が使われているパンやうどんがあることがわかります。また、メニューカードの下部にも、写真が不鮮明ですが、コンタミネーションの表示がしてあります。

考察・感想

今回の体験の中で一番感心したことが、グルテン対応食は各皿に「GFML」の表示があり、通常の機内食とは徹底的に区別されている、ということです。
特に国際線の飛行機は長時間飛び続けます。その中で、もしアレルギー対応食やグルテン対応食を頼んだ人が間違えて他の物を口にしアレルゲン反応が起こってしまったら大変なことになります。特に、アナフィラキシーショックなどを起こした場合は一刻を争います。
仮に、飛行機内でアナフィラキシーショックを起こし生死を争う状況になった時は、場合によっては途中で緊急着陸せざるを得ない場合もあります。発症者の命を助けることが第一ですが、緊急着陸すると他の乗客にも大きな影響を与えます。私も乗り合わせた飛行機が急病人発生により緊急着陸したことがありましたが、その時は途中で燃料を追加しなければいけないなどの理由から数時間の遅延が発生し、様々な影響を乗客に与えました。
また、国際線の場合は大洋上や十分な治療環境が整っていない地域の上空を飛ぶこともあり、緊急着陸などの措置を取ることが難しい場合もあると考えられます。
以上の理由から、機内でアレルギー反応を起こさせないということは非常に重要であるということが分かります。それを踏まえて、機内でのアレルギー対応食に対する取り扱いがしっかりしていることに感心しました。(高2・F)

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