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概要

薬物アレルギーは、アレルギーの中でも特に重症化し長期化しやすいものの一つです。薬物アレルギーとは医薬品を注射したり内服したりした後に現れる反応のことです。抗菌薬、解熱剤などのよく使われる薬に対しても反応が起きます。その薬物に対して抗体ができる二回目以降の侵入時に起こりやすいといわれています。薬品は分子が小さいので、それ自体が抗原となる場合は少なく、体内のタンパク質を改造してそれがアレルゲンとなる場合が多いです。

症状

軽度の場合:薬疹
重度の場合スティーブンスージョンソン症候群(SJS)、中毒性表皮壊死症(TEN)、
薬剤性過敏症症候群(DHIS)

ここからは、症状別に解説していきます。各症状において具体的な症状内容、起こしやすい薬、対処法などを説明します。

薬疹

具体的な症状内容

皮膚に出る症状です。薬の服用後1~3時間に現れることが多いです。1度薬疹が出てから、次からは15分~1時間程度で発症します。赤い斑点ができ、ひどい場合は浮腫となります。薬疹にも種類があり、痒みが出ることもあれば出ないこともあります。 さらに重症化するとスティーブンスージョンソン症候群などとなり集中治療が必要となります。

起こしやすい薬

  • 抗菌薬:細菌感染症に有効な薬です。ペニシリンなど
  • 解熱鎮痛薬や感冒薬:いわゆる風邪薬
  • 神経薬:抗けいれん薬、抗てんかん薬など
  • 高血圧、不整脈、糖尿病の治療薬
  • 造影剤:画像診断検査をより分かりやすくするために用いる薬剤全体

対処法

薬物の内服で違和感を覚えた時は様子を見ることが大切です。新しい薬を服用中に、服用直後に発疹が出て、かつ服用をやめると発心が収まる場合はその発疹は薬疹の可能性があります。もし、38℃以上の高熱、口唇・口腔のびらん(一部の皮膚が無くなっていること)、眼の充血、皮膚の広範囲に紅斑(皮膚が赤くなること)が生じた場合には重症化する可能性があるため医師・薬剤師に相談する必要があります。
そのような時には、どのような薬をいつから飲み始め、いつから症状があらわれたのかを明確にしておくことも重要です。

スティーブンスージョンソン症候群(SJS)

具体的な症状内容

全身に紅斑やびらんや水疱ができます。びらんによってはがれた皮膚の面積が10%以内のものを指します。薬疹の重症例ですがマイコプラズマやウイルスによっても起こされることがあります。

起こしやすい薬

  • 抗菌薬:ペニシリンやセフェムなど
  • 神経薬:抗けいれん薬
  • 非ステロイド系抗炎症薬や感冒薬
  • アロプリノール:高血圧症治療薬です。

対処法

この症状は原因となる薬物の服用を中止した後も続きます。そのため、入院しステロイドパルス療法を実行します。この療法では、常時の数十倍ほどの量のステロイド薬を服用します。

中毒性表皮壊死症(TEN)

具体的な症状内容

倦怠感を覚えたり、高熱、紅斑、びらんが多発します。スティーブンスージョンソン症候群が重症化したものの場合が多いです。びらんや水疱などによってはがれた皮膚の面積が30%以上を超えたものを指します。さらに、高熱、のどの痛み、全身倦怠感、食欲低下などと皮膚疾患が現れます。まず皮膚では全身に大小さまざまな紅斑、水疱、びらんが全身に発症します。水疱はすぐに破れてびらんになります。口唇・口腔粘膜、鼻粘膜、尿道口、肛門周囲にびらんが発生することにより疼痛や排尿、排便に伴う痛み、出血などが発生します。皮膚・粘膜の進行が非常に早く、症状は急激に悪化し重篤な状態になります。時に上気道粘膜や消化管粘膜を侵し、呼吸器症状、消化管症状を生じることもあります。

対処法

スティーブンスージョンソン症候群と同様、ステロイドパルス療法が適用されます。

薬物性過敏症症候群

具体的な症状内容

薬を内服した2~6週間後に熱が出て紅斑が出るアレルギー症状と、HHV-6ウイルスの再活性化による病気です。他の薬疹と異なり皮膚の様子が様々で、初期には軽症のように見えたりもします。原因薬剤を中止せずに投与し続けると、症状が進行して紅皮症へと悪化します。しかし、では原因薬物を止めれば良いかというとそういう訳でもなくむしろ悪化していきます。続いて様々なヘルペス科のウイルスが再活性化し、いろいろな臓器に炎症を起こしてくるためこの病気は原因薬を止めた後も、極めて多彩な症状、経過をとるのです。致死率約10%と大変危険なものです。

起こしやすい薬

  • 神経薬:抗けいれん薬
  • 尿酸を下げる薬

対処法

早い段階でこの病気を疑い医者にかかることが重要です。皮膚状態が様々で一見軽傷のように見えることもあるので早期発見をするためには血液検査をする必要があります。

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