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アレルギーを持っている人の増加


引用の出典:「アレルギー疾患の現状等」(厚生労働省健康局)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10905100-Kenkoukyoku-Ganshippeitaisakuka/0000111693.pdf)(2018年1月4日に利用)

アレルギーを持っている人は年々増加しています。厚生労働省健康局が公開した「アレルギー疾患 推計患者数の年次推移」というグラフを見ても、喘息やアレルギー性鼻炎の患者数を始めとして、緩やかに増加傾向にあります。このページでは、アレルギーを持っている人が増えている理由について考えていきたいと思います。

衛生仮説

詳しくは本サイトの「I型アレルギーのメカニズム」の項で解説していますが、T細胞にはTh1細胞とTh2細胞の2つがあり、アレルギーの原因となるIgE抗体をTh2細胞が作らせています。通常、人が幼少期から成長していく過程で様々な感染を経てTh1細胞は成長していきます。しかし現代社会の過度に清潔な環境で幼少期を過ごすと、感染の機会がなくなり、Th1細胞の成長が行われず、結果Th2細胞が強い状態のままになってしまいます。これを衛生仮説と呼びます。

アレルゲンそのものや接触環境の増加

住環境の改善や建物の構造変化にエアコンの登場によるダニやチリの増加、杉の大量の植林による花粉の増加など、アレルゲンとなり得る物質が増えていることも根本的な問題として挙げられます。また、食生活の変化によるタンパク質及び動物性脂肪の摂取機会の増加を始めとした、アレルゲンとの接触環境の増加も原因と考えられます。

排気ガスによる影響

社会の発展による車両の増加やそれに伴う大気中の排気ガスの増加も、アレルギー症状の原因の一つと考えられます。花粉症において、排気ガスは花粉症の症状を悪化させる増悪因子となります。「アレルギーの体験談」のページでも触れましたが、マウスを用いた実験から排気ガスが花粉症に関係を持つことが示されています。

ストレスによる影響

過度なストレスによって自律神経が乱れ、免疫ホルモンであるコルチゾールが分泌されなくなることがあります。コルチゾールの持つ役割の一つに免疫機能の抑制があり、もしコルチゾールが分泌されなくなってしまえば、免疫機能が過剰に働きアレルギー症状へと繋がることもあります。また、アレルギー症状の中でも特に、アトピー性皮膚炎と喘息はストレスとの関連性が深いと考えられています。

まとめ

このように近年アレルギーを持っている人が増えている原因は、アレルゲンの増加や接触環境の増加のようなアレルゲンそのものへの影響、衛生仮説やストレスのように身体機能に影響するものの二つに分かれます。しかも車両の排気ガスや建築物など、個人では対処のしようがないものにまで原因は及んでいます。もうアレルギーを持っている人を増やさないためにも、国を挙げての対処が必要になるでしょう。
普段の食生活や住環境だけでなく、幼少期の衛生環境や当人の心理状態まで影響しているというのは大変興味深いことです。身の回りの何気ない部分がアレルギー罹患や発症の原因になっており、もう一度自身や周囲の環境を確認するいい機会になるでしょう。

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