まちがった、過激なダイエットは、それ自体が危険なだけでなく、あとに大きな後遺症を残してしまいます。リバウンドもおこしやすいです。無理をせず、はじめから正しいダイエット法を身につけるのが、最もかしこく近道です。
正しいダイエットとは、十分栄養をとりながらエネルギーをおさえ、体を動かし
て少しずつ体重を減らしていくものです。つまり、正しい食生活と運動する習慣です。ここでは、ダイエットにいい食事と運動について中心に紹介していきます。
(1)ダイエットにいい運動は?
いったん体内にたくわえられた脂肪を減らすには、運動によって脂肪を燃やしてしまうことが、一番いい方法です。運動というと、激しいスポーツを思い浮かべるけど、急に運動をすると、ひざをいた
めたり、疲ればかりが残って、かえってマイナス。
それに、ハードな運動は脂肪ではな
く、筋肉中の糖質を燃やすので、筋肉をひきしめる効果はありますが、脂肪はあまりへ
らしてくれません。脂肪を燃やすには、体内に酸素をたっぷり取り入れるエアロビクス
やウオーキング、ジョギングなどの「有酸素運動」が一番です。
●有酸素運動にはどんなものがあるかな?
- ジョギング(ゆっくり走る)
- ウオーキング(急ぎ足で歩く)
- サイクリング
- 水泳(ゆっくり泳ぐ、ゆっくり歩く)
- エアロビクス
- ボクシング(ボクササイズ)
はじめのころは、糖質が燃え、20分ほどしてから少しずつ脂肪が燃え始めます。だから、このような運動を20分以上続けることが必要です。
大切なのは、長続きさせることです。食事に気をつけて、毎日続けて早歩きすれば、4ヶ月で10kgの脂肪を落とすことは誰にもできます。
●こまめに動く
特別な運動でなくても毎日の生活の中で、こまめに動くことも効果があります。近くなら歩いていく、エレベーターを使わずに階段を使う、電車やバスの中では、座るより立つ、すぐゴロンとねころばないようにする。こんなところから心がけるようにします。
家でも、自分のことは自分でする習慣をつけるといいでしょう。たとえば、ベッドの整頓やふとんの上げ下ろし、部屋のそうじなど……。
まめにお手伝いする人、からだを動かす人は、たいてい太っていません。お手伝いが、エクササイズになっているから。
1回1回は少ない消費エネルギーの積み重ねでも、長時間ではかなりの消費量になります。毎日の生活の中で意識して「これまでよりも体を動かす」ようにしましょう。これも、運動と同じで続けることがポイントです。
●筋肉をきたえる
人間はじっと何もしないでいても、呼吸や血液循環、体温維持など生命を維持するためにエネルギーの消費が行われています。これを基礎代謝といい、筋肉の発達している人ほど基礎代謝が高い、つまりじっとしていても多くのエネルギーが使われるのです。
運動を長期間続けて筋肉が鍛えられると、それだけ太りにくい(脂肪がつきにくい)体になるのです。
有酸素運動と腹筋や背筋などの部分運動を上手に組み合わせて行うと、体脂肪減量の効果が高まります。
(2)ダイエットにいい食事、食べ方は?
健康的にやせるためには、運動療法と食事療法を一緒に行うことが必要です。ダイエットとは、もともと「食事療法」「健康になるための食事」という意味です。食べずにがまんするのではなく、1日3食バランスよく栄養をとりながら、エネルギーだけ減らします。考えて食べれば、ダイエット中食べていけないものはありません。
●1日3食決まった時間に食べる
ついつい夜ふかし朝起きるのが遅くなり、朝食をぬいていませんか?食事をぬけば、やせると思うでしょう。それが、かえって太るんです。人間の体は、食事をとらないと脂肪としてたくわえ、食べ物が体の中に入ってこなかったときに備えようとします。万一の備えのために太るのです。
それに、朝食を食べないと結局お昼にどか食いしたり、間食してしまいます。太らないためには、3食きちんと食べること!これが基本です。
●ねる前2時間は食べない
夜遅くまで起きていると、どうしてもお腹がすいてきます。ねる前に食べた食べ物の多くは、脂肪として体にたくわえられます。肥満は夜つくられます。ねる前2時間は、何も食べないようにしましょう。
夕食時間が早い場合や、塾や習い事のあとなど、どうしてもお腹がすくときは、「お茶」「りんご(またはかんきつ類)」「ヨーグルト(または、少量の低脂肪乳)」のうちのどれかにしましょう。脂肪を多く含んだ食べ物は、禁物です。
●ゆっくりよくかんで食べる
よくかまないで早く食べると、脳の食欲中枢に「お腹がいっぱいだよ」とサインが届く前に食べすぎてしまうので、早食いの人は、食事量が多くなり太りやすくなります。
食事は、少なくても15分ほど時間をかけ、よくかんでゆっくり食べるように心がけましょう。食べ物を口に入れたらはしをおく、ひと口20回以上はかむ、飲み込むまで次の食べ物は入れないなど、自分で決めて工夫するといいでしょう。
●サラダのとりすぎは大食のもと
サラダは太らない。朝からサラダばっかりなんていう人はいませんか?
サラダはカサがあるので、たっぷり食べることが習慣になると大食になります。それにカサはあるけれど、実質量が少ないので、思ったほどビタミンやミネラル、食物繊維をとれません。
また、かけるものによってずいぶんカロリーが違います。ノンオイルドレッシング、カロリーハーフのマヨネーズを使うのがおすすめです。
●ごはん抜きダイエットはまちがい
ごはんは太るからとおかずは全部食べて、ごはんは食べない人が多いですが、間違いです。ごはんを残しておかずだけ食べると、体は糖質を求めるので、すぐおなかがすいて、おやつか何かを食べたくなります。
ごはんだけを減らすのは、あまり効果がありません。それよりも、おかずの砂糖や脂肪(油)を減らすようにした方がいいでしょう。ごはんが主の脂肪が少ない食事といえば、やはり和食です。和食は、栄養のバランスがとれたメニューを組みやすく、何よりのダイエット食です。
ただ、ごはんも食べすぎると、カロリーオーバーになるので気をつけましょう。また、ごはんとめん類の組み合わせも太ります。
●おやつを上手に食べる
最近のおやつは、高エネルギーのものがあふれているので、何も考えずに食べていると、エネルギーのとりすぎになります。中・高校生では、おやつのエネルギーは、1日300kcal前後までにおさまるよう下の図を参考にして食べすぎないようにしましょう。(最近は、箱や袋にカロリーが表示してあるものが増えてきたので参考にしましょう。)一番いけない食べ方は、夜ねる前に食べたり、ダラダラ食べる食べ方です。
でも、おやつも時間と量を決めて食べれば、ダイエットになります。スナック菓子は、小皿に分けて食べたり、ジュースなどもコップに分けて飲みましょう。甘いものなら、洋菓子より和菓子、和菓子より果物の方が少ない糖分で満足できます。果物、ヨーグルト、さつまいもやとうもろこし、枝豆や栗などはカロリーも少なく満腹感も得られます。低カロリーのおやつを手作りするのもいい方法です。
間食も、絶対食べないと考えると長続きしません。上手なつき合い方を考えていきましょう。
(3)毎日体重をはかる
ダイエットをするなら、自分の体重(できれば、体脂肪率)を知っておくことが大切です。毎日決まった時間に決まった服装ではかりましょう。(朝起きてトイレをすませたあとがよい。)
測定結果を折れ線グラフで記入していくと、体重の変化が一目でわかります。でも、あまり神経質になるとストレスがたまります。
食事と運動に気をつけながら、月に1〜2kg程度の減量を目標にすると無理なく長続きします。短期間に急激に体重を減らすと、体脂肪でなく筋肉や内臓組織を減らしてしまいます。
(4)ダイエットノートをつける
体重の記録と一緒に、食事、運動、できごとなどを記録できるノートをつくりましょう。
食事は、間食も含めて食べたものすべて(使われた食材も)書くようにします。記録したものを見ると、思っていたより間食が多い、あまり体を動かしていない、イライラしたことがあるとたくさん食べているなど自分でも気がついていないことがわ
かってきます。
また、使われた食材をなるべく詳しく記入することによって、食生活 の偏りを知ることもできます。バランスのとれた食事をすることが、健康的なダイエッ トの基本ですから、その意味でもおおいに役立ちます。
記録から見えてくる原因を一つずつ変えていくことが、減量作戦のカギになります。
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