宇宙人はいるのか?
〜地球外の生物を追う〜


宇宙人に関係のある話は世界中のどこにもあります。たとえば、UFO説などが有名です。しかし、本当に宇宙人は存在するのでしょうか?
私たちは地球という奇跡的な星に住んでいる生物の一員です。今のところ、地球以外のどの天体にも生物は発見されていません。しかし、宇宙のどこかには地球と同じような生命が満ち溢れている星があるのでしょうか?

そこで生命の存在の可能性について、生命が生きるための環境の有無を考えてみましょう。地球上に住む生命は、エネルギーを生産しそれを周りに放射している太陽と、そのエネルギーを受け取り生命に与える場としての地球が、絶妙な位置関係を保っているために存在しているといえます。というのは、温度のことをとっても、地球と隣り合う火星や金星に、太陽からの距離が異なるために、今の地球生命がすむ環境は整っていないのです。
そもそも、銀河系には、太陽のような恒星が約2000億個もあります。そのうち、生物が生まれる環境を持つ惑星がある恒星は0.1パーセント以下と考えられています。単純計算して、
2000億×0.1%=2億
になります。その数から見ると、構成からエネルギーを受け取る2億の惑星の中のどれかに、生命がいてもまったく不思議はないでしょう。

火星に生命痕跡!?
生命が存在する可能性の高い惑星は、現在の状況で唯一生命が存在するとわかっている地球に近い惑星です。そのなかで1996年8月6日に、NASAは、「火星に生命がいるかもしれない」との証拠を発表しました。それでは、どんな根拠があるのか見ていきたいと思います。

南極の隕石
火星への巨大な彗星、または小惑星などの衝突によって砕けた火星の破片は、しばらく宇宙をさまよっていて、そのうちの一部が偶然地球に落下し、「隕石」として、貴重な宇宙研究の材料となります。地球で見つかった隕石のうち、南極大陸で発見されたものは、南極特有の環境―常に凍っている、植物やコケなどによる侵食の恐れがない、などのために、元の姿をほぼ残したままで発見され、非常に大きな価値をもっています。南極では、たくさんの隕石が見つかっていて、隕石の内部から検出された気体の成分が、以前に調査された火星の大気の成分と一致することから、その内12個の隕石は火星から飛んできたものであることがわかっています。

隕石ALH84001
南極で見つかった隕石のひとつ、ALH84001という隕石は、約45億年前にできたもので、大きさはジャガイモくらい、重さ約1.5sの隕石で、火星からきたものらしいことがわかっています。この隕石をNASAの研究チームが開発をし、火星生命の存在を裏付ける、次のような有力な証拠が発見されています。

細菌の化石の痕跡

この隕石の内部から、細菌の化石に似た構造をした痕跡が見つかっています。これは、生命が存在したその抜け殻そのものであるといえます。しかし、その後否定的な反論も数多く行われていて、実際にそれが本当に細菌の化石であるのかどうかは、確定的なものではないようです。

細菌の活動していた痕跡
地球上では、ある種類の細菌が活動すると「磁鉄鉱」や「磁硫鉄鋼」という物質が発生します。ところが、これらと同じ微粒子が、ALH84001から発見されたのです。これらが、生命活動から生じたものだとすると、バクテリアがエネルギーを得るために鉄を酸化させ、生じたということになります。しかし、他の証拠との矛盾が生じていて、その矛盾の解決に向けて研究中です。

生命が化石になった痕跡
生命が化石になるときには、「PAH(Polycyclic Aromatic Hydrogencarbon)」という物質が発生します。そして、これも、この隕石の中から発見されたたのです。この場所で生命が生きていたためにおこった痕跡であるといえます。

水があった痕跡
この隕石の中に、鉄を多く含んだ「炭酸塩」という水と二酸化炭素が元になってできる物質が発見されています。これは、過去の火星には多くの液体の水が、存在したらしいことをしめしています。それらの炭酸塩は、約80〜100nm程度の大きさで、非常に小さくこの大きさは、地球に存在する最も小さいバクテリアの約1/100ほどで、その小ささのために細胞でないのでは、という説もあります。しかし、地球上にすむ最も小さい原核細胞生物、マイコプラズマのなかには、120nmという微小なものも知られています。これは、水の存在と共に、細胞生物の存在の証拠となるかもしれません。さらに卵のような形から、偶然にできたとは考えにくく、この炭酸塩がもともとバクテリアの細胞膜のようなもので、化石ができる間に炭酸塩になったというのが有力説です。

これらの証拠は、どれもいまだ決定的なものではなく、本当にこれらが生命の証拠といえるのか、論議中です。しかし、これらの証拠が全てひとつの隕石から発見されており、そこに残された矛盾や謎は、「火星に生命が存在した」と仮定すると、すべてうまく説明がいくのです。

火星の環境
火星は、地球のすぐ隣に位置し、環境が似ているところがあります。しかし、太陽から地球より少しはなれているところや、半径が地球の半分、そして重さが地球の1/10であることなど、かなり地球とは異なった環境を持っています。そして、地表温度は赤道付近でも15℃〜‐100℃、表面にある水は全て氷状になっています。そして、大気は、その約95%が二酸化炭素で、地球の1/170の非常に薄いものです。しかし、最近の研究では火星が誕生した直後の数億〜10数億念の間、そこには厚い大気が存在しており、火星は温暖な気候で、そのために海が存在していたのではないかということがわかっています。


この他にも、1969年にオーストラリアに落下したマーチソン隕石をはじめ、いくつかの隕石の中から、生き物を作るのに必要な特別な物質が発見されています。

多くの科学者は、宇宙にはたくさんの生命体が存在していると考えています。実際、地球の生命を構成している窒素、酸素、炭素、水素などは、どれも宇宙にあるのです。どこかに文明を持つ生命がいるかもしれません。近い未来、生命の存在が明らかになるかどうかは、これからの研究によって大きく変わってくることでしょう。