和菓子の種類

一言で「和菓子」と言っても和菓子には干菓子、半生菓子、生菓子と大きく分けて3つに分ける事ができます。そこで
現在、干菓子などそれぞれ和菓子にはどんな種類のものがあるのでしょうか?

 

生菓子・・・一般的に水分を割合含んだ、日持ちの短いお菓子で羊羹、団子などがこれに当たります。

<生菓子の例>                   

     練り物

     練り切り・・・練り切りあんと砂糖に求肥や山の芋をつなぎに加えて、練って木型などで成形した生菓子。上生菓子、または茶の湯で主菓子とも呼ばれる。種に着色しやすいので何色もの色を使える。花鳥風月を自由に表現できるので、季節感が出しやすい和菓子です。関東地方に多く見られます。

     求肥・・半透明で見た目は餅のようだが、求肥は白玉粉、砂糖、水飴を練り上げた物。牛の皮に似ているため唐から伝来した当初は「牛皮」の字を当てていたが、仏教の鳥獣の肉食を禁ずる思想からこの字が嫌われて
「求肥」の字が当てられるようになった。

 流し物

     練り羊羹・・あんと砂糖・寒天を練り上げながら煮詰めたものを羊羹船などに流しいれて固めて作ります。あんには小豆のほかに白あんや栗、芋なども使われて、それぞれ白羊羹・栗羊羹・芋羊羹となります。また柚子や柿・梅などの果物や抹茶、そしてコーヒーやワインなどで風味づけされた羊羹も作られています。

     錦羊羹・・羊羹に似ていますが、決定的に違う所はあんを用いないで作る点です。水・砂糖・寒天に水飴を加えて練った物を流して固めます。そして、泡立てた卵白などを入れた淡雪羹、道明寺種をいれたみぞれ羹などにもなるので色々な種類の物が作れます。

     餅物

     草餅・・よもぎの若芽をまぜて、鮮やかな無着色なので自然のよもぎの緑色と香りをつけた餅の事。よもぎが芽生える早春の味覚で、雛祭りの節句菓子として伝統的に作られてきました。現在ではよもぎを冷凍保存したり、乾燥して粉末にしたりと様々なアイデアによって年中食べられるようになりました。

     関西風桜餅・・みなさん、桜餅に関西風と関東風があるのは知っていましたか?この関西風桜餅は淡い桜色に着色した餅または道明寺であんを包んで、塩漬けの桜葉で包んだ餅菓子の事。

     焼き物

     金つば・・四角く切ったあんを堅めに説いた小麦粉で包んで、鉄板の上で8面を軽く焼いたお菓子。現在ではほとんどのものが立方体ですが、元来のものは丸形で、刀の の形に似ていたのでこの「金つば」という名で呼ばれました。

     関東風桜餅・・先ほど「餅物」で関西風の桜餅が出ましたが関東風は小麦粉を使った焼き菓子です。小麦粉、白玉粉、砂糖を水で練って着色した種を円形に焼いて、あんを巻いて塩漬けの桜葉で包んで作ります。

     蒸し物(饅頭&棹物)

     蒸し饅頭・・小麦粉であんを包んで蒸した饅頭の事。小麦粉を膨らませるために加える物によって上用饅頭 (山の芋)、酒饅頭(酒種)、温泉饅頭(温泉)などの種類がある。また、素材や形、色などによって様々な饅頭が全国にある。起源は大陸の「肉饅頭」ですが、肉食を忌むことからあんを包むようになりました。

     軽羹・・山の芋・米の粉・砂糖を蒸した蒸しカステラの事。切り分けてそのまま食べます。また中にこしあんを入れると「軽羹饅頭」にもなり、これは鹿児島の名物です。

干菓子・・落雁、煎餅のような乾いた和菓子の事を干菓子と呼びます。これらは保存性があるのが大きな特徴です。干菓子は茶の湯とともに発達したので京都、金沢、松江などに銘菓が多いです。

<干菓子の例>

  砂糖漬け菓子

     甘納豆・・小豆・白いんげん・金時豆などの豆類を糖蜜で煮詰めた菓子の事。水分がなくなったところでグラニュー糖などの砂糖をまぶしてある物も多く見られます。豆が本来ですが、栗やさつまいもなどでも作られています。

     豆菓子

     五色豆・・京都の菓子です。大粒のえんどう豆を炒り、赤、白、黄、緑、褐色の5色の衣をつけます。

     打ち物

     落雁・・もち米粉・砂糖に少量の水を加えてもんだ種を、木型に詰めて打ち抜いて成形して、乾かした菓子の事。もち米粉だけでなく、麦・そば・豆類・栗などの粉でも作られます。

   焼き物

     八ツ橋・・煎餅の一種ですが、米の粉を蒸してから練り上げて、水分を飛ばすように焼いているので、ほかの煎餅よりも堅いのです。短冊形に切って焼いた後、円筒のカーブで反らせて、琴の形に作っています。肉桂(ニッキ)の香りが強いです。

     掛け物

     金平糖・・ケシ粒を核にして、氷菓子と水を煮詰めて小麦粉を加えた砂糖をまぶしてつけた砂糖菓子の事。イスパニア語のコンフェイントがその名「金平糖」の由来です。安土桃山時代にオランダ人宣教師の手によって日本にもたらされたお菓子です。

半生菓子・・前記の2つの中間的存在で、最中州浜などがこれに当たります。

<半生菓子の例>

    岡物

     最中・・もち米をこねて蒸して、さらに薄くのばして切った物を焼いた皮2枚の間にあんを詰めたお菓子の事。最中の形もあんも全国に多数あります。発祥の江戸時代後期には最中の皮に砂糖をつけていただけでした。

     飴物

     石衣・・半乾きに厚く作ったあん玉に白砂糖の衣をかけたお菓子の事。石を思わせる堅いあんに白い衣をまとっている事から、「石衣」と呼ばれています。

和菓子用語

     主菓子・・・茶事で使う菓子の内、生菓子をいいます。 ちなみに主菓子の対は干菓子。

     棹物・・・羊羹を代表とする、細長い長方形、棹状の和菓子。

     打ち物・・・みじん粉などの粉と上白糖をまぜた物を木型に詰めて打ち出し、彫刻模様を出した物の事。木型に詰めてそのまま固める物は押し物といいます。


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      <参考文献>
      ・著者の名前・・・青柳 栄治
      ・本の題名・・・全国 和菓子風土記
      ・本の編集者・・・阿見 玲子