一寸法師・読解問題演習2


冒頭〜旅立ち問題演習には上手く答えられましたか?
次は都・宰相殿の家です。一寸法師の策略についても確認をしてみましょう。

◎都・宰相殿の家


かくて鳥羽とばの津にも着きしかば、そこもとに乗り捨ててみやこに上り、ここやかしこと見るほどに、四条五条しぜうごぜうのありさま、心も言葉にもおよばれず。

さて三条さんじょう宰相殿さいしやうどのと申す人のもとに立ち寄りて、「物申ものもうさん」と言ひければ、宰相殿さいしやうどのはきこしめし、おもしろき声と聞き、えんはなへ立ち出でて、御覧ごらんずれども人もなし。

一寸法師いっすんぼうし、かくて人にもみ殺されんとて、有りつる足駄あしげたの下にて、「物申ものもうさん」と申せば、宰相殿さいしやうどの不思議ふしぎのことかな、人は見えずして、おもしろき声にて呼ばはる、出でて見ばやとおぼしめし、そこなる足駄履あしげたはかんとされければ、足駄あしげたの下より、「人なませたまひそ」と申す。不思議ふしぎに思ひて見れば、逸興いっきょうなるものにてありけり。

相殿御覧さいしやうどのごらんじて、げにもおもしろき者なりとて、御笑おわらひなされけり。


問題その3
●旅に出た一寸法師は?

●一寸法師を見た宰相殿は?

解答

かくて年月としつき送るほどに、一寸法師いっすんぼうし十六になり、背はもとのままなり。さるほどに、宰相殿さいしやうどのに十三にならせたも姫君おはします。おんかたちすぐれそうらへば、一寸法師いっすんぼうし姫君ひめぎみ見奉みたてまつりしより思ひとなり、いかにもしてあんをめぐらし、我が女房にやうぼうにせばやと思ひ、ある時、みつものの打撒うちまき取り、茶袋ちゃぶくろに入れ、姫君ひめぎみしておはしけるに謀(事)はかりごとをめぐらし、姫君ひめぎみ御口おんくちにぬり、さて茶袋ちゃぶくろばかリ持ちて泣きゐたり。

宰相殿御覧さいしやうどのごらんじて御尋おたずねありければ、「姫君ひめぎみの、わらはがこのほど取り集めて置きそうら打撒うちまきを、取らせたま御参おんまいそうらふ」と申せば、宰相殿さいしやうどの大きに怒らせたまひければ、あんのごとく姫君ひめぎみ御口おんくちに付きてあり。

「まことにいつはりならず。かかる者を都に置きてなにかせん。いかにも失ふべし」とて、一寸法師いっすんぼうしに仰せつけらるる。一寸法師いっすんぼうし申しけるは、「わらはが物を取らせ給ひてそうらふほどに、とにかくにもはからひそうらへとありける」とて、心のうちにうれしく思ふこと限りなし。姫君ひめぎみはただ夢の心地ここちして、あきれはててぞおはしける。

問題その4
●その後、時、場所、登場人物

●計画の内容

●一寸法師の気持ち

解答

 一寸法師いっすんぼうし、「とくとく」とすすめ申せば、闇へ遠く行く風情ふぜいにて、みやこを出でて足にまかせて歩みたもふ。御心おんこころのうちしはからひてこそそうらへ。あらいたはしや、一寸法師いっすんぼうし姫君ひめぎみを先に立ててぞ出でにけり、宰相殿さいしやうどのは、あはれ、この事をとどめたまひかし、とおぼしけれども、継母ままははのことなればさしてとどめたまはず。女房にやうぼうたちも付き添ひたまはず。

姫君ひめぎみ、あさましきことにおぼしかして、「かくていづ方へも行くべきならねど、難波なにはの浦へ行かばや」とて、鳥羽とばの津より船に乗りたまふ。折節おりふし風荒かぜあらくして、きやうがる島へぞ着けにける。船よりあがり見れば、人住むとも見えざりけり。

問題その5
●宰相殿の気持ち

●一寸法師の気持ち

●姫の気持ち

解答

鬼退治〜出世