(青木担当)

ここでは、WFPの食糧援助を例にあげて説明します。


WFPの目的は貧しく飢えで苦しんでいる人に食料を援助して生活の向上を図り、貧困と飢えを絶やすことにあります。食料を援助する事は食料安全保障を促進するための数多くの手段のひとつです。WFPの予算は各国政府の任意拠出金と団体や企業、個人からの募金でまかなわれており、数多くの発展途上国で無償の食糧援助活動を行っています。その食糧援助量は世界の食糧援助量の約3割を占め、これまで120カ国以上の国で活動を行っています。WFPのスタッフの約90%以上のスタッフはフィールドスタッフと呼ばれ、飢餓の最前線で直接に援助活動に携わっています。現地で食糧援助を必要としている人たちは、地雷が埋め込まれている場所や治安が悪い地域などの危険な場所で生活していることが多く、WFPの活動は常に危険と隣り合わせです。そのためか、本部勤務のスタッフ数は減少させ、現地重視の方針を強化させています。スタッフも他の国連機関と比べ女性スタッフが比較的多いのが特徴です。その理由は食料を女性や子供、高齢者、障害者などの社会的立場の弱い人々に行き渡るようにするには、女性に直接食料を渡したほうが、男性に渡すより有効であり、そのためには女性スタッフのほうが適切な場合があるからです。

<<WFPの食糧援助には、2つのタイプがあります>>
一つめは、干ばつや害虫、病気による不作、洪水、地震などの自然災害や、戦争・紛争などの人為的な災害によって発生する被災者に対する援助で「緊急食糧援助」と呼ばれています。
二つめは、貧困層の自立を助けるために、もしくは食料不足の人たちに最低限の食料補給を行うことを目的とする援助で「プロジェクト援助」と呼ばれ、別名、「経済社会開発食糧援助」とも呼ばれています。

活動を開始した当初、1963年は支出のほとんどがプロジェクト援助に向けられていました。1976年から1991年の間、平均して70%以上の支出がプロジェクト援助でしたが、1991年から1994年の間を境に、プロジェクト援助と緊急食糧援助が逆転しました。これは、プロジェクト援助の需要が減少したわけではなく、それとは比較にならないほどの勢いで、緊急食糧援助が増えているためです。WFPはこの傾向は今後も続くと予想しています。1991年の事件といえば、湾岸戦争があげられます。そのために緊急食糧援助の需要が上昇したと考えられます。


給食を作っている(WFP)



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