銀河鉄道巡りの旅 ■ 小さな停車場
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 汽車はだんだん川からはなれて崖の上を通るようになり、だんだんしずかになっていくつかのシグナルとてんてつ器の灯を過ぎ小さな停車場にとまりました。

 正面の青じろい時計はかっきり第二時を示しその振子は風もなくなり汽車もうごかずしずかなしずかな野原のなかにカチッカチッと正しく時を刻んで行くのでした。

 遠くの遠くの野原のはてから、かすかなかすかな旋律が糸のように流れて来るのでした。
 「新世界交響楽だわ。」姉がひとりごとのようにこっちを見ながらそっと云いました。

 (こんなしずかないいとこで僕はどうしてもっと愉快になれないだろう。どうしてこんなにひとりさびしいのだろう。けれどもカムパネルラなんかあんまりひどい、僕といっしょに汽車に乗っていながらまるであんな女の子とばかり談しているんだもの。僕はほんとうにつらい。)



孤独を感じるジョバンニ、それでも彼らの旅は続く…⇒


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