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"富栄養化"

ここでは"富栄養化"について説明しています。

富栄養化の原因 富栄養化の原因について説明します
富栄養化の種類と被害 赤潮 赤潮の仕組みと被害を説明します
青潮 青潮の仕組みと被害を説明します
富栄養化の原因
  富栄養化とは、海の中の栄養分が偏る事により、生態系が一時的に崩れ、それによって海の生物に影響を与える事を言います。赤潮、青潮はその例です。生態系が崩れる事なので自然界でも普通に起こりますが、近年これらが問題になっているのは、生物にとって重要な役割を果たすリンや窒素などを含んだ洗剤や薬品などの垂れ流しによって、本人達にその気がないにしろ、人為的な富栄養化を引き起こしている事にあります。これは海ではありませんが、実際に琵琶湖周辺では、鮎の養殖に被害が出るためリンを含んだ選択洗剤の使用を禁止しています。
 富栄養化による被害には、海中のプランクトンが関係してきます。それらについての説明は、海の生態系をご覧下さい。
富栄養化の種類と被害
*ここから先は、海の生態系を読んでいる事を前提に説明をしていきます
赤潮
 赤潮とは、植物プランクトンの一種である渦鞭毛藻の仲間が大繁殖する事によって起こります。海の富栄養化が進むにつれて、発生回数が多くなっていましたが、近年では栄養物質の排出規制によるものか、赤潮の発生は減少しています。
 栄養分の比率が正常な海なら、春にスプリングプルーム(春季大増殖)が起こるだけで、その後にプランクトンの大増殖=プルームはありません。このスプリングプルームは、ケイ素を必要とするケイ藻等の増殖なので、基本的にケイ素がなくなるとプルームは終わります。 しかし、このスプリングプルームが終わった時点で窒素やリンが残っていると、再び光などの条件が良くなった時にケイ素を必要としない渦鞭毛藻が大繁殖してしまいます。すなわちこれが赤潮です(図1)。しかし、これは簡単な図で、本来は他の様々な栄養素や食物網なども関係してくる複雑なもので、さほどよく分かっていないのが現状です。

 赤潮は、赤潮を引き起こしている鞭毛藻類が死滅する際に大量に酸素を消費する事によって、魚を酸欠状態にしたりします。これについてはその藻類自身が毒を持っているとも言われています。またその中のある種類がカキなどに蓄積されると、それを食べた人間がマヒ性貝毒による中毒症状を起こすほか、魚が酸欠状態になって死滅する為に養殖産業に被害を与えるなど人間にも被害を及ぼします。
青潮
 青潮は夏から秋にかけて海が青白く変色する現象です。東京湾で夏の終わりから秋にかけてよく見られます。
 青潮の原因は海底にたまった有機性の汚染物質や植物プランクトン起源の有機物が分解される際に発生する酸素の少ない水(無酸素水塊)です。有機性の汚染物質などが好気性バクテリアで分解されると、そのときに水中の酸素を消費します。しかしやがて酸素がなくなると、硫酸還元細菌という嫌気性のバクテリアが働き出します。これが働く事によって、確かに有機性の汚染物質の分解は進むのですが、そのかわりに硫酸其が発生し、それが化学反応で硫化水素になります。それによって海の下層が酸素が少なく、硫化水素が多い状況になります。
 この状態で風などにより安定成層がかき回されると、海の下の層の水が上の層に現れる形になります。その結果、上層部の酸素が減少し、さらにあがってきた硫化水素が簡単に言うと空気と反応して、つまり酸化して硫黄になります。青潮の青い色の原因は、この硫黄が太陽光を反射する事によります。

 青潮になると上層部の海中の酸素が減るので、アサリなどが酸欠で死んでしまいます。また、景観上の問題もあるほかに、硫化水素が鋭い硫黄臭を発します。さらにこの硫化水素自体に毒性があり、それによる海生生物の被害も出ています。しかし、海生生物への影響は充分に分かっていません。

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