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「アボリジニー音楽」とは、オーストラリア大陸の原住民であるアボリジニー特有の伝統音楽である。アボリジニーは、オーストラリアが昔アジア大陸とつながっていた時に、北方からわたって来た人種とされている。そして氷河期が過ぎてそれまで陸同士が繋がっていたところが海の中に沈んでしまい地理的に孤立した。そのような経緯で、アボリジニー独自の文化が形成されて行ったわけだ。 アボリジニーにとって大地との関わりは、彼らの神話、宗教、信仰に大きな影響を与えている。中でも「夢の時代」という神話は彼らの信仰の中で一番強く、重要なものである。「夢の時代」とは、どのようにして世界が作られたかについての信仰であり、「精神的・物質的・道徳的な世界が創造された時に働いた偉大な宇宙の時間を表わしている」といわれている。
伝統的なアボリジニーの社会には、「精霊の社会」と交わるための儀式がたくさんある。「精霊」は、地上と天上に住んでいるとされ、普段はどこにも存在していて、彼らの祖先が地下に戻る時に通った、丘や平原や岩の形などを作っていると考えられている。その精霊が生み出される大地はすべてのものの母であるとされます。 よく使われる楽器は「ディジェリドゥー」である。「ディジェリドゥー」とはアボリジニーの人々独自の楽器で、1〜1.5m程の白蟻に食い荒らされて空洞になったユーカリの木を用いて作った笛の一種だ。管はほぼまっすぐで、末端にはマウスピースがつけられた吹き口がある。唇を振動させて、楽器音がそれを増幅して、音をだす。演奏者は男に限られる。儀式での舞踊や部族の歌の伴奏などに用いられる。
「ブォーン」という低い音を、鼻呼吸を使って連続的に息を出しつづける呼吸法によって奏で、動物の鳴き声のような効果音を演奏中に入れることもできる。 A2. 儀式、宗教、アボリジニーの習慣は「口伝え」によって次の世代に伝えられてきました。そのため古代のアボリジニーと全く同じ方法でコロッボリーなどの儀式が行われているわけではないのです。現在、アボリジニーの儀式は古代のアボリジニー音楽などをよく知ろうとする人々の間で、ごくひそやかに行われているに留まっています。 アボリジニー音楽はここ何年か、オーストラリアの音楽家達の中で西洋音楽とミックスできないか試みられていた。そのなかで成功例として上げられるのは、メンバーが全員アボリジニーの「ヨス・インディ」というバンドで、1991年にオーストラリアで最も人気のあるバンドに選ばれた。彼らのレコードはアボリジニーのスタジオで録音されたものである。 |