サンバ・ボサノバについて

前半 / 後半

 

 ボサノバは1950年頃に誕生した音楽で、当時ブラジルのポピュラーミュージックであったサンバがアメリカのモダン・ジャズの影響を受けて生まれた音楽である。「ボサノバ」とはポルトガル語で「新たな傾向」という意味で、文字通りサンバとはうってかわって都会的な雰囲気が漂う音楽である。

  具体的には、シンプルで力の抜けたな歌声と繊細で複雑なリズムが特徴的である。打楽器の複雑なリズムをギターで表現した事、サンバに比べて少ない楽器編成で演奏される事から、ボサノバは「贅肉を削ぎ落としたサンバ」と考えて差し支えがないだろう。日本国内でも人気があり、小野リサなどがボサノバミュージシャンとして知られている。

ボサノバを聞いてみよう!


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Q5. ジョアン・ジルベルト(ボサノバ・ギター奏法の創始者)とアントニオ・カルロス・ジョビン(ボサノバ史上最大の作曲家)について教えてください。

A5. ジョアン・ジルベルトとは、ブラジル生まれのギタリストであり歌も歌います。ジョビンと協力して作った世界初のボサノバ・レコード「想いあふれて」の演奏は彼のものです。また、今では一般的になっているボサノバ・ギター奏法の生みの親も彼です。


  アントニオ・カルロス・ジョビンは、ブラジルの作曲家であり、ギターやピアノも弾きます。ジョアンと協力してブラジルの大衆音楽とは違った「ボサノバ」という音楽ジャンルを作り上げました。彼が作曲した曲数は600を超える。代表曲に「イパネマの娘」「波」などがあります。

ボサノバのスタンダード、「波」を聞いてみよう!(演奏:岩間)


Q6.
「打楽器の複雑なリズムをギターで表現」とはどういうことですか。


A6. サンバのリズムは、一般的に「ラテンリズム」と呼ばれる独特なリズムで構成されています。ラテンリズムは、「クラーベ」と呼ばれる2拍子のリズムが基本になっており、このリズムを打楽器で演奏する事によって「サンバらしさ」を出します。
  ボサノバではギターでこのリズムを表現するのです。ボサノバではギターが「ハーモニー」「リズム」の2役を担当しています。

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Q7.「少ない楽器編成」とはどのような楽器編成なのですか。楽器の名前と楽器の写真をみせてください。
A7. 特に決まりきった楽器編成はないのですが、ボサノバを特徴づける重要なパートとして「ガット・ギター」「力の抜けたボーカルスタイル」が挙げられるでしょう。また、ピアノや管楽器が楽器編成に加えられる事もよくあります。

←ガットギター

Q8. 一番有名なボサノバの歌を教えてください。

A8. 「イパネマの娘」という曲をジョアン・ジルベルトの妻のアストラッド・ジルベルトが英語で歌ったことにより、アメリカでヒットしました。これにより全世界でブームが起こり、ボサノバは世界的に認知されるに至りました。
 イパネマとは、ブラジルにある地域の名前で、ジョアン・ジルベルトが生まれた場所です。「イペネマの娘」の作曲者は、アントニオ・カルロス・ジョビンです。

Q9. 最後に質問です。ボサノバの歌詞の中にはサウダージなどの特別な感情を表す言葉が使われるそうですね。それについて説明してください。

A9. ブラジルには、「サウダージ」と呼ばれる独特の概念があります。これは日本語で「郷愁」と訳されることが多いのですが、実際はもっと複雑なものであるとも言われています。日本の童謡などにも故郷を懐かしむような内容の歌詞がありますが、それを想像してもらうと分かりやすいと思います。「サウダージ」はしばしばボサノバの精神的な核心として表現されています。