7番
出典:「古今集」より
天
あま
の
原
はら
ふりさけ
見
み
れば
春日
かすが
なる
三笠
みかさ
の
山
やま
に
出
い
でし
月
つき
かも
安倍仲麿
あべのなかまろ
■口語訳
大空を振り仰ぎ、はるか遠くを眺めると、東の空に美しい月が上っている。 あの月はきっと、私が少年のころに見た、故郷の奈良の三笠山に出ていた月と同じ月だろう。
ああ、早く日本へ帰って、奈良の春日にある三笠山にのぼるあの月を眺めたいなあ!
■作られたワケ
仲麿は留学生として中国にいましたが、51歳になったとき玄宗皇帝に 帰国を願い出ました。
そして帰ることになり、明州の町で宴会を開きました。その時に、故郷を思う気持 ちが思わず口をついて出たそうです。
■作者プロフィール
安倍仲麿(701〜770)
712年、十六歳の時留学生として唐に渡り、政治や法律のことを学び、玄宗 皇帝に仕えました。
漢詩を作るのが上手で、唐の詩人の李白や王維たちとも友達でした。