成人して2年が過ぎました。
今、シノカントは17歳です。

アイヌとして生まれたシノカントには、小さい頃に決められた許婚がいました。
レラという女性です。
同じ17歳で、隣の集落で生まれ育った女性でした。
2人は小さい頃からよく遊び、結婚することもお互い納得の上でのことでした。

しかし、父から「そろそろ式を挙げよう」と言われたのは昨日のことでした。
正直、シノカントは夜も眠れないほど驚きました。
その反面、とても嬉しかったようです。
許婚ではありますが、シノカントはレラに恋をしていました。
昨日の夜は眠れなかったので、レラのことを想いながら彫刻を作っていました。

シノカントは、レラの家へ彫刻を贈りに行きいました。
レラからは、彼女自身が刺繍を施した綺麗な衣服を貰いました。
その衣服は、虹の様な紋様が刺繍してありました。

そして、結婚当日がやってきました。
両方の家族が集まり、神への祈りが終わった後。
夜遅くまで楽しい宴が続きました。




モドル 目次 ススム