寒冷前線 ↑
寒気が暖気を押しのけて暖気側へ移動していくときの寒気の最先端です。
寒気は暖気に比べると重いので、暖気の下にくさび状にもぐり込み、湿潤な
暖気を強制的に上昇させながら前進します。その通過時には、それまで吹いていた
南よりの暖かい風が急に北寄りの冷たい風に変わって突風を伴い、強いにわか雨が
降ります。ときには、雷雨となります。
気温は、短時間に数度下がることも珍しくありません。
温暖前線 ↑
温暖前線は、暖気が寒気の上を滑昇しながら、寒気を押しのけて寒気側に移動します。
温暖前線の場合には、暖気と寒気の境界面は200分の1〜300分の1程度の穏やかな
傾斜を持つといわれており、寒冷前線よりも広い範囲に悪天候を及ぼします。
たとえば、前線から寒気側に300kmも離れた場所で、降水が観測されることが
あります。前線の通過時には、北寄りや東寄りの風が、南寄りの風に変わって降水が
強まったり、気温が上昇するなどの変化がみられます。これらの変化は寒冷前線通過の
場合ほど明確ではありません。
閉塞前線 ↑
閉塞前線は、温帯低気圧に伴う寒冷前線が、先行する温暖前線に追いついた状態です。
追いついた寒冷前線の後ろ側にある寒気が、先行していた温暖前線の前方にある寒気より
も冷たければ、寒冷型の閉塞前線といいます。この前線の通過後は、温暖前線が通過する
前の寒気にいたときより気温が下降します。天気図では3種類の前線が「入」の字に
似ています。
反対に、追いついた寒気が、温暖前線に先行していた寒気よりも暖かければ、温暖型の
閉塞前線といい、通過後は気温が上昇します。天気図では3種類の前線が「人」の字に
似ています。
日本付近では、西から次々に寒気が補給されるので、ほとんどが寒冷型の閉塞前線です。
停滞前線 ↑
停滞前線はゆっくりと寒気側や暖気側に移動したり、また、ほとんど動きが見られない
場合もあります。その雲バンドが北にふくらんでいる場合には、そこに低気圧があったり、
発生しつつあります。
上層の偏西風帯上の谷が停滞前線に接近して、低気圧が発生し発達すると、低気圧の
南西側では寒冷前線の特徴が、南東側では温暖前線の特徴が明瞭になります。
秋雨前線 ↑
夏が過ぎると、北から寒冷前線が南下して寒気をもたらし、太平洋高気圧との間に前線が
停滞しやすくなります。これが蒸し暑い夏から、さわやかな秋に移るときに現れる秋雨前線
です。
秋雨前線は顕著な年もあれば、ほとんど現れない年もあります。日本での雨が多いのは、
梅雨、秋雨、降雪の3つといわれていますが、地方によって差があります。
日本で降水量がいちばん多い季節は、西日本では梅雨期、東日本では秋雨期、北陸では
真冬、北海道では真夏です。