勉強したことを忘れやすいのは、

例)教室

 「教室でぼんやり授業を受けていただけでは、勉強ができるわけがない」とよく言われています。

これは脳の性質からして、あたっていることなのです。脳は、〈生きていくのに不可欠〉だと認めた情報だけを、保存します。例えば餓死寸前のときには、食料のありかなどの情報は、しっかり保存されます。しかし、平和な学校の教室で、生きることへの心配もなくぼんやりと受けた授業の内容は、〈生きていくのに不可欠なことではない〉と判断して、脳に保存されずに忘れていくのです。


 受験のシーズンになると、受験生はせっぱ詰まって猛勉強します。そして見事、第一志望の学校に入れるわけです。

受験勉強というのは、先ほど説明した脳の性質を逆手にとっているのです。試験で落ちたら…という不安感や恐怖感をもって勉強するので、脳はこの情報を〈生きていくのに不可欠〉な情報なんだと勘違いし、保存するのです。このように、不安感や恐怖感を持つことで脳をだませば、勉強したことを覚えることができるのです。この不安感や恐怖感を持つかどうかというのは、その人の心の問題ですから、記憶において脳と心は密接な関係だということがわかると思います。
恐怖感もなく、
平和な中で覚えているから
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