ボッティチェリ

ビーナス誕生

受胎告知

 

ビーナス誕生

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 ロレンツォは平和主義者でボッティチェリのパトロンのなかで一番大切な人物です。ロレンツォはフィレンツェを守るためにイタリア全体の平和を維持しようとします。
 メディチ家は東方貿易が盛んになるほど銀行家だったためより勢いを増します。ローマのシスト4世はそれに恐れを抱きローマにあるメディチ銀行の財産を没収します。そしてパッツィー家を動かしメディチ家を内部から潰そうとします。「パッツィ家の陰謀」です。
 そして1476年の復活祭(ミサ)の日にサンタ・マリア大聖堂でロレンツォとジュリアーノに刺客が襲います。ロレンツォは傷を負いながらも新聖具室に逃げ込むことが出来ました。剣の名手だったジュリアーノは自ら剣をとって必死に抵抗します。しかし相手の人数が多かったため抵抗もむなしく殺されてしまいます。同じ年にジュリアーノの恋人シモネッタも結核のため亡くなっています。
 シスト4世はナポリと同盟しナポリ軍約7000人にフィレンツェを包囲させます。ボッティチェリは生きる意味をなくしたロレンツォに自分の思いを少しでも早く知らせようとその状況の中一人絵を描き続けています。そして描かれたのがこの『ビーナスの誕生』です。
  この絵を見たロレンツォは驚きます。左端の西風の精の顔が亡き最愛の弟ジュリアーノ。中央に描かれたビーナスの顔は、ジュリアーノの恋人で今は亡き絶世の美女シモネッタだったのです。右端の衣を持つのは時を司るホーラです。「もう時間がありません」というボッティチェリの思いでしょうか。
 心を動かされたロレンツォは単身ナポリへと向かいナポリ王と面会します。ナポリ王はロレンツォの勇気と熱意に心を揺さぶられ、シスト4世との同盟を破棄します。そしてフィレンツェを囲っていたナポリ軍を引き上げさせたのです。
 『ビーナスの誕生』この絵がフィレンツェを救ったのです。
 この絵の下方をよく見るとキャンバスを継ぎ足した跡が見えます。フィレンツェを救うため、急ぐボッティチェリの姿が目に浮かびます。

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