着物の特徴

 人が生活を営んでいくのに衣服は必需品です。衣服を着ることにより身体を保護するこ とや、おしゃれをすることで自分自身を表現することが出来ます。そして、衣服にはその 国の風土や生活儀式による特色があり、その国の文化の一部ともなります。

 日本にも独自の伝統的な民族服があります。一般的に「着物」と呼ばれているものです。
着物という言葉の意味は、衣服全般を指すものでしたが、最近ではほとんど日本の伝統衣 装を指す言葉となっています。着物には「和服」と呼ばれるものと「呉服」と呼ばれるも のがあります。「和服」は綿、「呉服」は絹の製品です。現代だと大抵、着物は「和服」 と呼ばれることが多いです。

 着物の一般的な着用方法は、肌の上に「肌襦袢(はだじゅばん)」を着て、その上に柄 の入った「長襦袢(ながじゅばん)」を着用し、さらに表着となる「長着」を着ます。他 にも女性の服装として正装の振袖や留袖、普段着の小紋などや、また男性の服装では、正 装の五つ紋付、普段着の甚平(じんべえ)、法被(はっぴ)等の様々な種類があります。


 日本と西洋では文化や風土が違うので、その影響を反映させる衣服は、形や構造が大き く異なってきます。日本の着物とヨーロッパの洋服は以下のような違いがあります。

1、洋服は男は右前、女性は左前にあわせて着るのに対して、着物はどちらとも右前にあわせます。右前にあわせると亡くなった人に着せる、死に装束になります。
2、洋服は衣服をボタンやファスナーでとめ、固定させますが、着物は腰の部分で帯を締めて固定させ、はだけないようにします。
3、洋服の袖は細く、空間的余裕が少ないですが、着物は袖に袋状の袂(たもと)があるので中の空間が広くなっています。
4、仕立てられる時に洋服では曲線裁ちという方法を使用しますが、着物は直線裁ちという方法が使用されます。


 着物は安価で入手することは困難なことや、着る時の規則が多いために自分では着るこ とが難しいことから、着る人が少なくなりました。また現在の日本の生活様式や社会環境 から考えると、実用的とは言えないことがあります。ですが、ヨーロッパの風土にあう洋 服よりも、着物は湿度の高い日本に適した作りになっており、冬に暖かくて、夏は風通し のよい涼しい素材を用いたり、首まわりが密着していないので苦しくないつくりになって たりします。さらに最近では着物の規則にとらわれず簡単に安価な着物をラフに着る人た ちが増えています。着物の柄も、現代にあわせた明るい感じのデザインのものが流行り始 めています。

 近年、世界中で日本の文化が注目されています。その影響で、着物の良さに惹かれて着 物を着る外国人や、着物の魅力を見直して着るようになった日本人が増えてきています。