はじめに〜静電気とは?


いきなり問題です。静電気とはそもそも何なのでしょうか?
静電気って言うくらいなので電気であることは間違いないでしょう。
実際、静電気の大きさを表す単位には、電圧の単位とまったく同じV(ボルト)やkV(キロボルト)が使われます。
しかし、静電気といきなり言われても、それがそもそも何であるかわからない人もいるのではないでしょうか。
そこで次の実験をしてみましょう。


実験する前に、必ず『実験編』『はじめに〜実験するにあたって』を読んでおいてください。
また、実験の手順は説明の都合上、写真ではなくCGを利用したイラストで解説させてもらいます。
それではいってみましょう! (なお、『学習編』で紹介されている実験はすべて『実験編』でもまとめてあります)


今回は静電気が何であるか調べる実験です。
用意するものは塩化ビニル棒、アクリル定規、紙、アルミホイル。
まずはじめにアルミホイルを細かくちぎり、机の上に十枚ほど置いておいてください。


<アルミホイルを机に>

これだけで準備は終了です。
では実験に入りましょう。

 実験1


まずは塩化ビニル棒と紙をこすり合わせてみます。


<塩化ビニル棒と紙を摩擦させる>

次にこうやってこすった塩化ビニル棒をさっき準備しておいた机の上のアルミホイルに近づけてみてください。


<塩化ビニル棒をアルミホイルに近づける>

さあ、このようにした時、机の上のアルミホイルに何が起こるでしょう?
勘のいい人や実際にやってみた人はもうおわかりですね。


<近づけると…>                             <こうなる!>

アルミホイルが塩化ビニル棒にくっつきました!
では、次はアクリル定規と紙をこすり合わせてみます。


<アクリル定規と紙を摩擦させる>

そしてこのアクリル定規をアルミホイルに近づけてみます。


<アクリル定規をアルミホイルに近づける>

さあ、今度はアルミホイルに何が起こるでしょう?


<近づけると…>                             <こうなる!>

アルミホイルがアクリル定規にくっつきました!

さらに、もうひとつ別の実験もしてみましょう。
次も塩化ビニル棒と紙を用意してください。
なお、この実験は台所で行います。

 実験2


まずは、水道の蛇口を少しだけひねって水を垂らしておいてください。
それから塩化ビニル棒と紙をこすり合わせます。


<塩化ビニル棒と紙を摩擦させる>

次にこの塩化ビニル棒を水平にして、蛇口から垂らした水流に近づけてみてください。


<塩化ビニル棒を水流に近づける>

さて今度はどうなるでしょうか?


<近づけると…>                             <こうなる!>

水流が塩化ビニル棒に引き寄せられて曲がりました!



さて、別の実験を二回してみましたが、どうですか?
きっとこの時に疑問が生じると思います。
それはズバリ

「なぜこんな事が起こるのか?」

ということです。
しかし、残念ながら今はまだその疑問に答えることはできません。
それは少しずつこの『学習編』で学んでいってもらいます。
とりあえず今は
「物と物とをこすり合わせることで何かが発生した」
ということだけ押さえておいてください。
そして、この物体どうしの摩擦によって発生した『何か』こそがこのサイトで取り上げる静電気というものなのです。
ではここで最初の話に戻ります。
「静電気とはそもそも何なのか」
という疑問を提示しました。
静電気を言葉で言い表してみましょう。
静電気とは

「電荷の空間的移動がわずかであって、それによる磁界の効果が電界の効果に比べて無視できるような電気」 のことをいいます。 (「静電気ハンドブック」より)

しかし、これではよくわかりません。
というかさっぱりなので、簡単に言いかえてみましょう。
静電気とは

「物体に電気がたまる現象、もしくはその電気のこと」です。

ではなぜこんなことが起こるのでしょうか?
そもそも物体に電気がたまるとはどういうことなのでしょうか?
次回からは今回の様に簡単な実験を交えながら、静電気の基礎的な知識から学んでいきましょう。

学習編       第一回