遺伝子に関する考え方


ある形質が遺伝する場合、形質そのものが親から子へと移動するわけではありません。
例えば、イヌの毛色が遺伝するからといって、精子や卵子に毛が生えているわけではないですね。
毛色という形質自体が伝わるのではなく、その形質を決定する物質(今でいう『遺伝子』)が親から子へ伝わっていると考えられます。


メンデル以前の研究で、遺伝子は液体のようなものと考えられていました。
例えば、黒イヌと白イヌ交雑では、それぞれの遺伝子がコーヒーとミルクのように混合してカフェオレのようになり、
灰色毛を決定するので、生まれる子は全て灰色のイヌとなります。
このように交じり合った遺伝子は分離することができないので、灰色のイヌからは灰色のイヌしか生まれないはずです。


しかし、実際にはそうではありません。

メンデルは、遺伝子を粒子のようなもの(例えば白と黒の碁石など)と仮定しました。
それらは、交雑により親から子に伝えられると交じり合うが、再び分離することも可能であると考えました。




  第一章