出逢い 1



「そういえば、久々だな、街に来るのは…」

俺、宮本タクヤは呟いた。

街は人であふれ返っている。

目的地へ向かうため、足を速めて歩いていくと、
デパートの壁に「バーゲン開催中!」と書いていた。

「うぉっ!ラッキー!!」

俺がその広告に目を奪われた瞬間―――……

ドンッ

「痛っ!どこ見て歩いてるのよっ!!」


「え、あっ………ごめんなさいっ!!」

「…………」

そこで、俺はあることに気がついた。
そのぶつかった女の子は、かわいかったのである…………っとそれよりも、
その女の子は、俺の方を見て話しているはずなのだが、何か違和感があった。

サングラスをかけていたため、正確に目が見れた訳ではなかったが、
予想できる視線が少しずれているような……。

「気をつけて歩いてよね!」

彼女はそう言って踵を返し、歩いていった。
その後ろ姿を見てはっとした。
彼女は、視覚障がいのある方が持っているような、白い杖を持っていたのだ。

それが、俺とあいつの出逢いだった―――。




点字トップへ→