避難生活について知ろう

避難生活の課題の解決策

避難所での多くの問題を解決するカギとなったのが「交流と自治」です。その場で生まれたコミュニティが避難生活の改善を導いたのです。

例えば、女性から多く挙がった、「着替えづらい」「知らない人がたくさんいる場所では恐怖を感じる」といった声をキャッチして生まれたのが女性専用スペースです。女性専用スペースでは女性同士の交流が生まれ、悩みを相談しあえる関係が構築されていき、人々の心から不安が取り除かれていくことに役立ちました。

また、家族を失い孤独感を感じる方が多くいた避難所では、震災関連死が多発するという事実がありました。少しでもその寂しさを和らげようとして生まれたのが「喫茶店」や「足湯」といった交流の場です。

(↑避難所で行われた足湯とマッサージのサービス)
資料提供:福島大学 天野和彦教授

喫茶店から漂うコーヒーの香りに誘われて人が集まったり、癒しを求めて高齢者の方が足湯のサービスを受けに来たりして、避難所内で新たな人間関係が構築されていったことにより、寂しさを紛らわす効果がありました。

このように避難生活では時間の経過とともに様々な問題が解決されていきました。

現在では、「さすけなぶる」という避難所運営シミュレーションゲームが開発され、様々な場所で研修が行われています。

さすけなぶる公式ページ

【ちなみに】

福島大学天野和彦先生のお話によると、当時の避難所の様子は80年前の避難所の様子と変わらなかったそうです。

つまり、ダンボールでしかプライベートなスペースを区切れない状況などが、80年の長い間改善されていないのです。

これだけ災害の多い国日本で、避難生活に改善がみられていないのはとても悲しいことです。

今後起きるとされている首都直下型地震南海トラフ地震は、3.11よりも多くの避難者が予想されています。確実に起こるとはいえない事柄に対して備えるというのは難しいことかもしれませんが、同じ被害を繰り返さない為にも、一人一人が普段から備えていくことが大切です。また、その場でコミュニティを形成していく勇気や力、協力体制が人々の心に芽生えることが重要なのです。

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